多発性硬化症の人では寿命が短い傾向、一緒に存在する症状の改善が大切か

全身の神経がダメージを受ける「多発性硬化症」の寿命は短い傾向があるようだ。一緒にかかる病気への配慮が重要となると見られる。
寿命について調査
カナダの研究グループが、神経分野のニューロロジー誌2015年7月21号で報告したもの。多発性硬化症にかかっている人の生存率は上昇しているものの、世界には230万人が病気にかかり、死亡のリスクとも直面している。研究グループは、多発性硬化症にかかっている5797人、そうでない2万8807人を比較した。
糖尿病や心臓病が問題に
多発性硬化症とそうではない人には寿命に差が確認できた。多発性硬化症の人は寿命が76歳を中心に分布していた、そうでない人は83歳だった。多発性硬化症の44%は多発性硬化症または関連する合併症で死亡していた。死亡率を上げていた一緒にかかる病気は、糖尿病、心臓に血流が届きにくくなる虚血性心疾患、うつ、不安障害、肺がん。多発性硬化症以外の人でも同じ傾向だった。
病気全般が死亡率を高める
多発性硬化症の死因で最も多かったものは神経系の病気と循環器系の病気。感染症や呼吸器系の病気による死亡率は、多発性硬化症では高い傾向があった。研究グループによると、多発性硬化症に関連した病気があるから死亡率が上がるというよりも、全般的に病気になりやすくなり死亡率が高まるという傾向と見られる。多発性硬化症にかかっているときには、病気全般の対策が重要になりそうだ。
文献情報
Effect of comorbidity on mortality in multiple sclerosis. – PubMed – NCBI
Neurology. 2015 Jul 21;85(3):240-7. doi: 10.1212/WNL.0000000000001718. Epub 2015 May 27. Research Support, Non-U.S. Gov’t