うつ病も血液検査で?症状で下がる「脳由来神経栄養因子(BDNF)」というタンパク質
うつ病の状態次第で、血液検査で調べられる「脳由来神経栄養因子(BDNF)」というタンパク質に変化が起こるようだ。うつ病の血液検査がいまだに難しいが、将来的には診断につながる?
2年間にわたって検証
オランダの研究グループが、精神分野の専門誌であるモラキュラー・サイカイアトリー誌2015年5月号で報告した。うつ病になると血液の中のBDNFというタンパク質が低くなる。研究グループはうつ病の人やうつ病ではない人を対象として、うつ病やBDNFがどのように変動するかを調べた。対象となったのは、うつ病を発症した153人、うつ病が軽減した420人、うつ状態が続いている310人、うつ病ではない868人。研究の開始から、2年後までのうつ病の状態、抗うつ薬の使用、脳由来神経栄養因子のレベルなどについて測定している。
両者の間に関係あり
その結果、うつ病ではない人と比べて、うつ病の状態が続いている人とうつ病の症状が軽減した人では、BDNFが時間の経過とともに急激に低下していた。うつ病を発症した人はBDNFの減少については健康な人と変わらなかった。抗うつ薬の使用や中止はBDNFと関係していなかった。研究グループは、BDNFの変動に伴ってうつ病に影響が及ぶだけではなく、逆にうつ病の状態次第でBDNFの方が低下する場合もあると説明する。うまく利用可能にまでなるか?
文献情報
Bus BA et al. Chronic depression is associated with a pronounced decrease in serum brain-derived neurotrophic factor over time. Mol Psychiatry. 2015;20:602-8.
Mol Psychiatry. 2015 May;20(5):602-8. doi: 10.1038/mp.2014.83. Epub 2014 Aug 26. Research Support, Non-U.S. Gov’t