歯槽膿漏の薬は市販薬から歯医者さんが処方する薬まで3種類!4つの原因と3つの症状や出血や腫れなど対応別のお薬9選!

歯槽膿漏と歯周病と歯肉炎のちがいは?
歯周病や歯槽膿漏、それに歯肉炎という言葉をよく聞かれますね。そもそも歯周病、歯槽膿漏、歯肉炎という病名は症状がどう違うのでしょうか。歯周病と歯槽膿漏は同じように使われることが多いのですが、歯周病の中でも症状が進行した状態で歯科医の治療が早く必要となる病状が歯槽膿漏です。
歯肉炎とは歯周病の初期症状で歯茎に炎症があり歯茎が腫れたり歯磨き時の出血といった症状がみられます。歯周病は歯槽膿漏から歯周炎、歯肉炎まで歯茎や歯を支えている組織に炎症が起きる病気の総称です。
歯槽膿漏の薬には抗生物質と抗カビ剤という新説が
今までは薬として処方されていたものは一時的に炎症を抑えるだけの薬で根本的に治療できるものではありませんでした。細菌によるものと考えられ細菌の塊とされる歯垢、つまりプラークを取り除くために歯磨きをして時間をかけ取り除く方法が一般的でした。
しかし、近年、歯槽膿漏の原因にカンジダ菌が大きく悪影響を及ぼしていることがわかり、患者の歯茎や歯の表面にカンジダ菌とその胞子が存在し歯垢(プラーク)を構成する要素もほとんどがカンジダ菌であるという新説が出てきました。この説によるとカンジダ菌に抗菌作用のある抗生物質と抗カビ剤を患者に処方することにより根本的な治療ができるようだということです。
歯槽膿漏の原因として考えられるのは?
歯垢(プラーク)とは細菌とその代謝物の固まり
歯槽膿漏の原因としてまず挙げられるのが歯垢(プラーク)です。歯垢(プラーク)を食べ物の食べカスと思われる人もいますが、実は食べカスではなく細菌とその代謝物の固まりです。歯に付着している白、または黄白色の粘着性のある沈着物で、この歯垢(プラーク)1mgに1億個以上の細菌があるといわれています。
歯垢(プラーク)は強く歯に付着していて薬品だけでは取り除くことが難しく、歯ブラシで取り除くことが大事ですが、どうしても磨き残りができてしまいます。
歯茎に炎症が起きて症状が進むと歯と歯茎の間には歯周ポケットといわれる隙間ができ、そこに磨き残りした歯垢(プラーク)や歯垢(プラーク)が石灰化した歯石がたまると歯茎が腫れてきて歯槽膿漏の原因となります。
睡眠不足、偏った食生活など不規則な生活が歯槽膿漏を誘発
歯科医に行っていても何度も再発する人は、食生活をはじめ生活全体が不規則である可能性が高いので生活習慣を見直してみましょう。歯周病は生活習慣病であると認識しましょう。不規則な食生活、夜間の仕事や精神的ストレスが歯周病の原因と考えられます。
歯周病が発症するかどうかは、歯周病菌と、身体を守ろうとする防御機能とのバランスによります。いくら身体が守ろうとしていても口の中に歯周病菌が多ければ、歯周病を発症しやすくなりますが、その反面、口の中の歯周病菌が少なくても、身体の防御機能が低下していると歯周病を発症しやすくなります。
いろいろな要因が歯周病引き起こすと考えられますが、生活リズムを正しくすることは大切なことです。また、口腔乾燥によって唾液が少なくなると、お口の中で細菌が増殖しやすくなる可能性があり、放っておくと症状が悪化する恐れがあります。
喫煙や飲酒が知らない間に悪影響を及ぼす危険が
歯槽膿漏の原因のひとつとして喫煙があげられます。歯周病菌に侵されていて煙草を吸う人は抹消血管の血流が悪く、治りにくくなります。また、煙草の含有化学物質が歯肉からの出血を抑制したり歯肉を硬くする作用があるので異常がないと勘違いしてしまい、自覚症状がないまま病状が進んでしまうことがあります。
喫煙者と非喫煙者を比較すると統計的には喫煙者の方が歯槽膿漏をはじめとする歯周病にかかりやすいというデータ結果があります。喫煙は歯周病になりやすく自覚症状がなくなるので治療が遅れてしまいがちです。
これに対して、飲酒そのものに歯槽膿漏を発症させたり、悪化させたりする要因は見受けられないのですが、付随する行為による原因があります。飲酒した後、歯を磨かずに寝たりして、歯磨きをあまりしなくなってしまうケースがありその不衛生な状態が歯周病になりやすい原因をつくっています。
年齢を重ねるにつれて体力低下
軽度の症状を含めて歯茎に疾患のある人は30歳前後なら日本人口の80%。40歳前後では84%となりさらに50歳前後では88%となります。まさに成人の8割以上が歯周病になっているといっても過言ではありません。
花王と長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の原宜興教授の共同で「加齢に伴う歯周炎の進行の原因」という研究を行い、過剰に免疫反応を起こすと歯周病を発症する可能性があるのではという研究結果を発表しました。
「年齢があがるほど進行した歯周炎にかかっている人の割合が増える傾向があり、歯周炎が進行するほど、抗体や歯垢(プラーク)が多くなり、抗体が多いほど、歯周炎が進行しており、また、細菌の量よりも歯周病関連細菌に対する抗体量の方が歯周炎の進行との関連が強いらしい」という研究結果で年齢を重ねるほど歯周病の進行に対する免疫反応の影響がみられました。
何十年という年月の間に歯周病関連細菌への抗体量が増えていきます。この細菌が抗原となりこの抗原を排除しようとする必要以上に強い免疫反応を起こして歯肉の炎症が増加するのではと考えられる説があります。
歯槽膿漏にはどんな症状が出るの?
初期症状は痛みもなく、歯茎の腫れや出血
歯周病の初期症状として歯肉炎があります。歯茎が腫れたり歯磨きの時に出血があるなどの症状です。それほどの痛みがないので、処置をしないまま放置してしまいがちです。この段階で、痛みを感じなくてもしっかりケアをしましょう。
歯垢のたまった歯肉が炎症を起こし、赤く腫れます。歯垢(プラーク)を放置しておくと 石灰化して歯石となり、歯磨きではとれないため、歯科医院で取ってもらう必要があり ます。
歯と歯茎の間の溝に細菌の塊である歯垢(プラーク)がたまり、歯茎が炎症で腫れて、歯肉ポケットができています。歯肉炎の段階では、歯肉ポケットの深さは2~6mmくらいと考えられます。歯肉炎が進んで軽度歯周病となると歯周ポケットの深さは3~5mmとなり次第に歯茎の腫れが大きくなり、歯周病菌が侵入しだしていきます。
中期症状では歯周ポケットが深くなり歯がぐらつきだす
歯周炎とは、歯周病が中程度進行した状態で早めに歯科医で治療する必要があります。歯周病が進行していき炎症が拡大して、歯の周りや骨も破壊されだし、歯がぐらつき始めます。
歯ぐきが腫れる、口臭や歯ぐきからの出血だけでなく、歯垢(プラーク)中の細菌が歯槽骨を破壊し歯周ポケットが徐々に深くなりその深さは4~7mmとなっています。その上、歯ぐきが退縮して歯が長く見えたり食べ物が歯間に詰まりやすくなるでしょう。歯肉の色は赤黒く 、腫れて痛むことがあります。
後期症状は出血と口臭があり歯が抜けるリスクも
歯周病の重い症状です。迷わず早急に歯科医に治療してもらわねばなりません。歯周病の最も重い症状となる歯槽膿漏です。何もせず歯磨きすらしていないのに歯ぐきから血や膿が出て、その膿が原因でひどい口臭が発生したりして周囲にも異変がわかります。
歯周ポケットは6mm以上でより深くなり、歯を支えているはずの歯槽骨が少しずつ溶けていきやがて半分以上破壊され歯がぐらつき歯が抜け落ちる危険性もあります。歯肉はぶよぶよして膿を伴ってきます。
歯槽膿漏の薬にはどんなタイプがあるのかな?
歯磨き粉タイプ
「アセス、アセス E、アセス L」
歯肉炎、歯槽膿漏の症状の緩和に効果的です。用法・用量は1.0g、つまり約3cmくらいを歯ブラシにつけ1日2回歯肉をマッサージするように磨きます。
「デントヘルス B」
殺菌、抗炎症、血行促進の三つの作用が歯茎と歯周病菌に働きかけエマルション(乳化)基剤によって有効成分が唾液などで流されにくく浸透力も高くなり効果をあげます。適量(約0.5cm)を歯ブラシにのせて1日2回(朝・夕)マッサージするように磨きます。
塗り薬タイプ
「デントヘルス R」
歯肉炎・歯槽膿漏の場合には1日2回朝晩歯磨きを終えてから、約0.3g、つまり1.5cmくらいを指にのせて歯茎に塗り込んでください。口内炎にも効果があります。この場合は1日2〜4回、患部に塗布。
「ConCool リペリオ」
歯周病(歯周炎・歯肉炎)の予防を目的とした歯肉活性化歯みがき剤です。歯肉再生効果が期待できます。3cmくらいの量を指にのせゆっくり歯肉をなぞるようにくるくるとマッサージします。
飲み薬タイプ
「ロキソニンS」
歯茎の痛みや腫れがひどい場合には解熱鎮痛剤を。15歳以上の成人は、1日2回まで。1回1錠。なるべく空腹時を避けて服用。服用間隔は4時間以上あけてください。15歳未満は服用しないでください。第1類医薬品です。
「セファレキシン」
歯科医の処方による処方せん医薬品。市販の薬ではありません。
成人や体重20kg以上の小児に1回250mg(力価)を6時間ごとに服用。 年齢、体重、症状を考慮して増減しますが、医師の判断になります。
抗生物質
「ペリオフィール」
歯科医が治療に使う薬、処方せん医薬品です。通常1週に1回、患部の歯周ポケット内に充満する量を 注入する。
「ジスロマック」
歯科医や医師が治療に使う処方せん医薬品です。500mg(力価)を1日1回、3日間合計1.5g(力価)を服用。
症状や対応別歯槽膿漏の薬にはどんなものがあるかな?
歯茎からの出血には
「アセス、アセスE、アセスL」
カミツレ、ラタニア、ミルラという3種の天然ハーブを配合た医薬品の歯茎磨きです。歯槽膿漏や歯肉炎の原因菌となる「嫌気性菌」に対してすぐれた抗菌力を発揮し、歯周ポケットの歯石のもとを残さないようにして、口内の清浄作用に役立ちます。出血や腫れ、口臭、発赤、口内のネバネバや膿などの緩和に効果があるとされています。第3類医薬品です。
「シュミテクト」
歯周病ケアに適し歯がしみるなどの知覚過敏を防ぎます。歯磨き以外にもこのシリーズには歯ブラシ、デンタルリンスと幅広い製品を揃えています。シュミテクトは海外では「SensodyneⓇ(センソダイン)」の名で世界約100カ国で愛用されています。医薬部外品です。
歯茎の腫れには
「デントヘルスR」
指で直接、患部に塗布するので、効果的です。唾液中のカルシウムと反応してゲルの粘りが強くなり患部に滞留しやすく、それだけ患部に薬の作用が長くあらわれます。
歯茎の腫れや出血、痛みに効く殺菌成分(セチルビリジニウム塩化物水和物)抗炎症成分(グリチルリチン酸二カリウム)組織修練成分(ヒノキチオール)組織修復成分(アラントイン)が歯槽膿漏の症状に効果的です。第3類医薬品です。
「メディカルガーグル」
口腔内や喉の殺菌、消毒、洗浄をするうがい薬です。セチルピリジニウム塩化物水和物(CPC)を配合していて殺菌力にすぐれています。口臭を除去するメントールを配合。抗炎症成分グリチルリチン酸二カリウム(GK2)を配合することにより炎症を抑え、歯茎の腫れにも効果があるでしょう。指定医薬部外品です。
歯茎の痛みには
「ロキソニンS」
歯茎の痛みに耐えられないときはロキソニンSを服用されてみてはどうでしょうか。歯科医でも鎮痛剤として処方されています。ロキソプロフェンナトリウム水和物が血液の中へ速やかに入り、効果が速くあらわれると期待されます。このロキソプロフェンナトリウム水和物は痛みの原因となっている発生メカニズムの働きを阻害して痛みの原因物質を産み出さないよう働きかけるので解熱鎮痛効果が高いのです。
また、ロキソニンSは胃粘膜を刺激しにくい状態で、胃を通過するので、胃への負担が少なく体内に吸収されてから活性化してその効力を発揮します。眠くなる成分が入っていません。第1類医薬品です。
口臭に効く薬は
「コンクールF」
口臭、虫歯や歯周病予防のために。歯科医が推奨する殺菌洗口液です。コップ約8分の1から4分の1の水にコンクールFを5〜10滴入れ口中ですすいでください。1日数回使用。
歯科医が推奨する理由は、グルコン酸クロルヘキシジン(殺菌剤)は約12時間殺菌効果が続き就寝中にも虫歯菌や歯周病菌の増殖を防ぐからです。予防は毎日の行いの積み重ねがとても重要で、その点でもコンクールFは刺激が強くなく適度な爽快感があるので使用が長続きしやすいのです。
主な成分はグルコン酸クロルヘキシジン(殺菌剤)の他に抗炎症剤としてグリチルリチン酸アンモニウム。緑茶抽出液やl-メントールを配合して口に入れやすくしています。医薬部外品です。
「パーフェクトペリオ」
低濃度次亜塩素酸と炭酸水素ナトリウムを中性に安定させた生成希釈水。歯周病などに効果があるという説もありますが、今のところ、他の経口うがい薬に匹敵するほどの殺菌効果の有無は歯科医により賛否両論です。
歯科医で治療に使う薬は
ペリオフィール・ジスロマック
「ペリオフィール」
歯科用構成物質製剤。歯周炎治療薬。 ペリオフィールは淡黄色で,においはないが味は苦い。薬剤0.5g分がシリンジに注入されていて歯周ポケットなどの患部にシリンジのキャップを外してゆっくり内容製剤を注入します。シリンジを使い終わったら、院内感染を防ぐために使用後は直ちに破棄します。
「ジスロマック」
歯科医の処方による医薬品。処方箋医薬品です。 歯周病嫌気性菌に強い抗菌力があります。感染した部分に大量に薬の成分が集結して強くより長期(7日〜14日)にわたって抗菌作用があります。
成人にはアジスロマイシンとして、500mg(力価)を1日1回、3 日間合計1.5g(力価)を経口投与する。 尿道炎、子宮頸管炎に対しては、成人にはアジスロマイシンと して、1000mg(力価)を1回経口投与する。
まとめ
世界中の大半が悩んでいる口の中の病気。人は口で呼吸し食べ、語らい、口を使わない時はないでしょう。そう考えればいろいろな刺激にさらされて疾患を発症する可能性は高くなるかもしれません。けれど日々のケアや生活習慣を見直すことで緩和できる疾病であります。
特に中高年以降の方々は治療や予防が重要となってきます。健康な歯がその後の寿命の長さにも関係するといわれています。いつまでも食事を楽しみ、人との語らいを楽しめるように健康な歯の環境を保っていきたいものですね。