破産手続きって一体どんな手続きなの?ある程度の財産は手元に残る!3つの種類の手続きを徹底解説します!
破産手続きって一体どんな手続き?
破産手続とは,破産法に基づく倒産手続の事です。具体的には,支払不能等に陥った債務者(破産者)の財産を換価処分して,それによって得た金銭を債権者に弁済または配当するという裁判(法的整理)手続です。
簡単に言うと、借りていたお金を返すことが出来ないから、自分の財産を全て返済に充ててしまう手続きのことですね。
自己破産とは
債務が全額免除されるの?
裁判所を通して、借金が免除される手続きのことをいいます。しかし、この手続きにはメリット・デメリットがありますので、良く理解したうえで実行するかの判断が必要となります。
【メリット】・借金が免除されます。(滞納している税金ついては支払い義務がのこります。)
・申立後は、貸金業者(消費者金融など)からの取り立てが止まります。
・借金など支払いが困難な状況下であれば、だれでも手続きができます。
※借金が免除されたり、貸金業者からの取り立てがなくなるのは、とても気持ち的にも楽になり助かりますね。
【デメリット】・信用情報に載ってしまう。(10年以内は信用情報(ブラックリスト)に載ることで、
新規の借り入れやクレジットカードが作れなくなります。)
・職業制限がある。(約3ヶ月~半年間ほど、一部の職業につけなくなります。)
・財産は処分される場合がある((原則20万円以上)の価値のある財産は処分される場合
があります。)
※借金の返済から逃れられるようになる反面、ある程度の社会的責任はとらなければならないということですね。
ある程度の財産は手元に戻るの?
自己破産したといっても、その後の生活がありますよね?なので、手持ちのお金をすべて返済に回さないといけないというわけではなく、破産後の生活のために、ある程度のお金はそのまま持っていることが出来ます。また、お金だけではなく、原則20万円以上の価値のある財産は処分される可能性がありますが、それ以下の価値のものは残ったりもするでしょう。
破産手続きには、3つの種類がある!
同時廃止事件
破産手続き開始の時点で、債権者に配当できるような財産がまったくないことが明らかな場合があります。そのような場合には、破産管財人は選任されず、破産手続き開始と同時に破産手続きが廃止されるということになりますので、極めて簡易的に破産手続きが終了することになるのです。この例外的な形態のことを「同時廃止事件」といいます。
では、なぜ簡易的な形態がとられるのかというと、そもそも換価処分するべき財産がないことが明らかな場合なときにまで、わざわざ破産管財人を選任して、手続きを進めていくというのは(破産管財人には報酬を支払わなければなりませんので)コスト面でも無意味となるからです。
個人の自己破産の場合には、この「同時廃止事件」が少なくはありません。
※破産管財人とは(裁判所から外部の弁護士に外注され破産管財人に選任された弁護士のことをいい、財産の調査・管理・換価・配当などを行います。)
少額管財事件
法人・会社の破産手続きの場合には、基本的に管財事件として扱われますので、同時廃止事件となることはほとんどありません。会社に財産がほとんど残っていないような場合は、破産の開始決定と同時に、破産の手続きを終わらせることができます。
このような破産の手続きのことを「少額管財事件」と言います。
中小企業であれば、予納金金額が少額で済む「少額管財事件」となるのが通常でしょう。
また、個人の自己破産の場合の、破産管財人が選任されない同時廃止事件において、同時廃止とするために虚偽申告等がなされるという問題も頻発しました。
そこで,予納金を少額におさえながらも,管財事件として破産管財人による調査を実行する「少額管財事件」という運用がなされるようになった経緯もあるそうです。
ただし、法律上は「少額管財事件」という制度はありません。あくまでも、各裁判所の運用となっています。なので、地域によっては「少額管財事件」の運用をしていない裁判所もありますので確認をしたほうが良いでしょう。
管財事件・終結するまでの期間は?
裁判所によって破産管財人が選任され、その破産管財人が破産者の財産を調査・管理・換価処分します。それによって得た金銭を、債権者に弁済または配当するという破産手続の原則的方法が「管財事件」といいます。
法人・会社の破産の場合、その法人・会社は消滅することになりますので、法人・会社の財産・資産を残しておくことはできません。破産手続きにおいてすべて処分しておく必要があります。
また、法人・会社の場合、債権者・取引先・従業員など多くの利害関者人が存在しています。これらの利害関係者の利益を調整して、適切な配当等の措置をとるためには、各権利関係等を調査しなければなりません。
このような調査を確実に行うためには、破産管財人による調査が必須です。そのため、法人・会社の破産の場合には、破産管財人を専任せずに行うことができる同時廃止事件ではなく、「管財事件」として取り扱われるのが通常です。
管財事件になると、手続きが終わるまでに、約1年程度の期間が必要となるだけではなく、手続きも複雑化するため、裁判所に納める予納金の金額が大きくなります。
財産管理業務等は,裁判所が選任した破産管財人によって行われます。破産管財人に選任されるのは,通常,破産管財人の登録をしている弁護士です。破産手続の基本形態はこの「管財事件」ですので,自己破産の手続も、原則として「管財事件」として進められていくことになります。
なお、個人の自己破産の「管財事件」では、破産手続開始決定後に、破産財団をもって破産手続の費用を支払うに際し不足すると認められる場合、破産手続廃止の決定によって終了することが多くあります。これを「異時廃止事件」といいます。
同時廃止事件の手続きの流れ
破産申し立ての前の流れ
1. 弁護士による自己破産の無料相談(現在は、大半の法律事務所が無料相談を行っていると思います。)
2. 弁護士との委任契約の締結
3. 受任通知の送付・債権者へ取引履歴の開示請求
※債権者に対して受任通知を送付され、このときから、債権者からの直接の取立てが停止されます。
4. 債権調査・過払い金返還請求
※債権者から提出された債権届をもとにその内容を調査します。貸金業者から取引履歴が開示された場合には、利息制限法に従った債権額を確定して場合によっては、過払金の返還を請求がされます。交渉による過払い金の返還が難しい場合には、訴訟を提起して過払金を回収することになる場合もあります。
5. 資産・家計状況の調査
※債権調査と並行して、資産状況や家計状況を調査します。一定の財産がある場合には、「同時廃止事件」ではなく「管財事件」として扱われる可能性があります。そのため財産関係は詳細に調査しておく必要があります。
6. 免責に関する調査
※債権・資産等の調査に加えて免責に関する調査も行っておく必要があります。免責不許可事由がある場合や、免責不許可事由があると疑われる場合には、「同時廃止事件」ではなく「管財事件」として扱われることになるためです。
7. 自己破産の手続の選択
※債権調査・資産調査・家計調査などに基づいて、自己破産の手続を選択すべきか、それとも他の債務整理手続を選択すべきかどうか確認します。
とくに、個人の自己破産には、「管財事件」と「同時廃止事件」があります。債権調査・資産調査・家計状況の調査などの結果において、最終的にどちらの手続きになるか見通しを立てておく必要があります。
1.破産申し立て
【自己破産の申し立て】
管轄の地方裁判所に自己破産の申し立て書を提出し、自己破産の申し立てを行います。申し立て書には、収入印紙・郵便切手を添付します。
申し立て書が受理されたら官報広告費を予納することになります。自己破産の申し立て書を提出する際(または提出後3日以内)に、裁判官と代理人弁護士があらかじめ面接を行って事件の内容の説明をするというものです。これにより、「少額管財事件」となるのか「同時廃止事件」となるのかが決められることになります。
【破産者の審尋】
自己破産の申し立て後に、破産手続き開始原因があるかどうか、「同時廃止事件」とすべきかどうか等について調査するために、裁判所において破産者審尋が行われる場合があります。
破産者審尋とは、裁判官によって破産者自身に対する質問等が行われます。弁護士が代理人にとなっている場合には、よほどの問題がなければ基本的に破産者審尋は行われないそうです。
2.破産開始決定および同時廃止決定
自己破産申し立ておよび破産者審尋後、裁判所によって破産手続開始決定(破産宣告)がなされます。
「同時廃止事件」の場合は、破産手続開始決定と同時に、破産手続廃止決定もなされることとなります。
また申し立て人には、破産手続開始通知書・同時廃止決定通知書が送られます。決定通知書には、破産手続きを開始することと、本件破産手続きを廃止するという「主文」があり、「理由」などが記されています。
3.免責審尋
たとえ破産手続が終了しても、まだ免責手続きは終わっていません!裁判所が、免責を許可しても良いかどうかを調査する免責審尋を行います。「同時廃止事件」の場合は、破産手続開始後、約2ヵ月後くらいに免責審尋が行われます。ここでは、裁判官が債務者に、免責不許可事由についてや、借入れの経緯について等を直接話を聞くこととなります。
4.免責許可決定
免責審尋が終了した後、一定期間(約1週間~10日以内)に、裁判所から免責に関する決定が下されます。決定が下されれば、免責決定確定証明書が法律事務所に送付され、法律事務所から債務者に送付されます。
破産手続き終了は、収入をどう使うか等、すべてご本人の自由となります。自己破産後、約5~10年くらいはローンが組めない、クレジットカードが作れないということがありますが、それ以外は、何の制限もなく他の方々と同じように生活することができます。
但し、自己破産後7年は再度自己破産をすることはできませんので、また借金をしないように十分気をつけて生活して下さい。
少額管財事件・管財事件の手続きの流れ
1.破産申し立て
【自己破産の申し立て】
管轄する地方裁判所で申し立て書と添付書類を提出します。裁判所書記官と面談し、添付書類等に不備がなければ申し立ては受理されます。受理された時点で、債権者からの債務者に対する取り立てをすることができなくなります。
【破産審尋】
申し立てから、約1~2ヵ月後に、破産審尋という裁判官との面接を行います。弁護士に依頼した場合は、即日面接も可能なようです。裁判官から支払不能になった経緯などについて質問を受けたり、破産申し立て人は、裁判官から債務に対して、免責が許可されない理由がないか、簡単な質問を受けたりします。
2.破産開始決定
審尋の数日後に破産の決定がされ、財産があれば、「破産管財人事件」として、破産手続きを開始することになります。その際、官報で公表されます。
破産を申し立てる際に財産がある場合は、免責不許可事由に該当する場合、会社などの法人の場合は今回説明した管財事件による
破産手続を行うことになりますが、
費用面でも、時間的な点についても、
少額管財の手続きを利用するメリットは大きいです。
少額管財の手続きにするには、弁護士に依頼する必要がありますので、
自己破産をお考えの方はまずは弁護士にご相談されることをおすすめします。
3.破産管財人選任
裁判所は、破産手続開始の決定と同時に、破産管財人を選任します。そして、破産管財人に財産の管理と処分が任されます。
資産価値のあるものを換価していきます。通常20万以上の価値のあるものは財産とみなされ換価対象です。生活に必要な家電製品や衣類などはそのままです。破産者宛の郵便物は、全て破産管財人の元へ郵送されるようになります。(隠れた財産や債権者の漏れがないかどうかをチェックするため、開封して調べます。)
換価が終わったら、そこから未払いの税金や管財費用を引き、 残ったお金を借金額に応じて債権者に配当していく流れとなります。
ちなみに、弁護士のうちから破産管財人を選任する場合裁判所は、その破産事件の規模や、管財業務の内容(事案の複雑性・事件の難易度等)、破産会社の業務内容等、事案の内容に応じて、経験年数・専門分野・破産管財人としての経験、弁護士事務所の規模等考慮して決定しているそうで。
4.債権者集会
債権者集会とは、債権者に破産手続に関する情報を開示し、破産手続に債権者の意見を反映させるために、裁判所によって開催され、法定の事項について決議等をする債権者の集会です。
債権者集会を行って債権の確定をして破産管財人が財産の管理と処分を行います。裁判所で免責の審尋を経て(行われない場合もあります)、免責が許可されれば免責が決定し、官報で公告されます。
5.異時廃止決定・簡易配当
【異時廃止決定】
管財事件においては、破産管財人が破産者の財産を管理・換価して債権者に配当しますが、財産調査の結果、破産者の財産によって破産手続の費用を支払うこともできないことが明らかになれば、それ以上管財人の任務を遂行しても無駄なため、「異時廃止決定」をします。「同時廃止事件」と違い、破産手続開始決定と廃止との間に時間的ズレがあります。これを「異時廃止事件」といいます。
しかし、この異時廃止手続きをとる場合には、破産管財人の為の費用を予納金に上乗せして納めなければならないことになっています。
【簡易配当】
簡易配当手続きとは、債権者への配当原資となる財産が一〇〇〇万円以下の場合に、配当手続きを簡略に行い、できるだけ早期に配当手続きをし、配当手続きにかかる費用を節約する手続きです。
通常の配当手続きを実施すると官報掲載などの費用と時間がかかりますが、簡易配当手続きでは、この官報掲載の手続きを省略します。そのため、官報掲載費用相当額を配当に回すことができ、早期に破産管財人が配当への着手を行うことができます。
簡易配当は、配当手続きを簡略にする手続きですので、その後の配当表の配当には、異議を申し出ることができます。
免責許可決定
「同時廃止事件の手続きの流れ」にもありましたが、たとえ破産手続が終了しても、まだ免責手続きは終わっていません!裁判所が、免責を許可しても良いかどうかを調査する免責審尋を行います。
免責審尋とは裁判官との面接です。自己破産申し立て者は、弁護士同伴で裁判所に出頭する必要があります。そして、免責となった場合には、担当弁護士宛に裁判所から免責許可決定の決定書が送付されます。その後、担当弁護士から自己破産申し立て者は、決定書の原本を受け取り、全ての手続きが終了となります。
少額管財の場合は債権者集会の約1週間後に、免責許可決定が弁護士事務所に送付されます。なお、免責許可決定後に1ヶ月経過すると、法的に免責許可が確定し、自己破産手続が完了します。確定に伴う通知などは特にありません。
まとめ
いかがでしたか?今回は破産手続きの種類・流れについて記事にしてみました。会社や個人の方で、いろいろな事情があり、日々やりくりを頑張っている方もいらっしゃると思います。でも、無理をして自分の身体を崩しては、それこそ大変です。破産手続きは決してマイナスばかりではありません!「再出発」への前向きな手続きでもあるのです。もし、この記事を読んでいただいて、こんな種類や方法があるんだなと知っていただき、新たな1歩のきっかけになれたら嬉しく思います。