自閉症で変化に付いていけないのはなぜ?メカニズムに新しい見解
自閉症のメカニズムとして新しい仮説が提案されている。認知機能の柔軟性がどう損なわれるかという点について、既存の文献に基づいて分析されたもの。自閉症をうまく改善させていくときのヒントを提供してくれるのかもしれない。
変化に適応しにくいのはなぜ
米国マイアミ大学の研究グループが、神経分野の国際誌であるトレンズ・イン・ニューロサイエンス誌2015年9月号で報告した。研究グループが注目したのは、認知機能の柔軟性の問題。自閉症の人ではここに問題があるからだ。通常は、環境の変化に適応するために、認知機能の柔軟性は大切になる。新しいタスクにどう切り替えていくか。子どもの頃の読解力のほか、大人の精神的な回復力、高齢者の生活の質に関連してくる。研究グループは神経の仕組みを解いて、柔軟性に問題を抱えた自閉症の人の治療にもつなげようと考えている。
4つの機能が組み合わさって
研究グループは、既存の文献を解析して、その仮説を立てている。解析の結果、研究グループは認知機能の働きだけではなく、認知機能に関係した4つの異なる脳の働きが影響していると説明する。4つの要素とは、「興味を持つ分野を抽出する能力」「短期的な記憶にかかわるワーキングメモリー」「神経の働きを邪魔する能力」「神経の働きを切り替える能力」の要素。自閉症で起こる異常を解くときに役立てられるか。
文献情報
Trends Neurosci. 2015 Sep;38(9):571-8. doi: 10.1016/j.tins.2015.07.003. Research Support, N.I.H., Extramural; Research Support, Non-U.S. Gov’t; Review
New Model of Cognitive Flexibility Gives Insight into Autism Spectrum Disorder
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