小児性愛の傾向がある人に特徴、「福耳ではない」「口の中の天井が深い」「左利き」など、カナダの研究結果

小児性愛の傾向のある人は顔に関係した特徴や左利きの傾向など、発達と関係した特徴があるという研究報告が出ている。カナダのウィンザー大学を含む研究グループが、国際性研究学会(IASR)の公式誌で性科学分野の有力誌アーカイブズ・オブ・セクシャル・ビヘイビアのオンライン版で2015年6月10日に報告した。
140人を評価
小児性愛は、大人になってからも、子どもに対して過剰な性愛の感情を抱くことを言う。精神的な病気としても位置づけられている。顔の小さな異常には耳たぶがたれていない、日本で言ういわゆる福耳ではないという特徴のほか、耳の形が通常と異なっている、口の中の天井が深くなっているといった特徴も含まれている。胎児期にウイルスやアルコールおよび薬物、栄養不足、母親の産科的な合併症などにさらされると起こる場合が多いという。このような特徴は男性に多いと説明する。男性の方が母親のおなかにいるときの影響を受けやすいところが関係するようだ。研究グループは、違法な性行為や性的虐待によりカナダの「中毒・精神保健センター」(CAMH)の診断に回されてきた男性140人を対象として、法医学情報および医療歴の検討、インタビュー、性的嗜好を調べる勃起判定検査などを行い、同時に顔の特徴、利き手を調べている。
利き手も神経の発達から
その結果、検査やインタビューで小児性愛と判定された人は、そうではなかった人より顔に小さな通常とは異なる特徴を持っている確率が高いと分かった。こうした異なるところが多いと傾向は強まるようだ。全体的に、過去に調べた統合失調症のグループ、健康な人のグループと比べても、顔に関係した小さな異なる特徴の数が多くなっていた。小児性愛の人では左利きの確率も高かった。利き手は主として胎児期の神経の発達によって決まっており、人生のごく初期に固定しているところは、顔に関する小さな異常と共通するところがあるようだ。子どもの虐待については、従来、自身が子どものころに性的虐待を受けた人による行動と長い間考えられてきた。今回の検証によると、確かにそのような場合もあるが、本当の小児性愛者には当てはまらないという。
文献情報
Pedophiles more likely to have physical irregularities
Dyshniku F et al. Minor Physical Anomalies as a Window into the Prenatal Origins of Pedophilia. Arch Sex Behav. 2015 Jun 10. [Epub ahead of print]
Minor Physical Anomalies as a Window into the Prenatal Origins of Pedophilia. – PubMed – NCBI
Arch Sex Behav. 2015 Nov;44(8):2151-9. doi: 10.1007/s10508-015-0564-7. Epub 2015 Jun 10.