太刀魚の栄養まとめ!脂っこいのにしつこくない秘密とは?ガンを抑制する効果も?健康にも美容にもオススメ!
太刀魚ってどんな魚?太刀魚についておさらい!
名前の由来は太刀に似た姿から
太刀魚の名前の由来はその太刀のような姿から、といわれています。中国では帯に似ているというところから「帯魚(ダイユイ)」と呼ばれています。
スズキ目タチウオ科の魚で、体長は約1.5mと細長く尾の部分はひも状になっています。鋭い歯を持ち、頭の後ろあたりから尾の先まで伸びる背びれはありますが、胸びれや腹びれはありません。体表にウロコはなく全体に銀色に輝いています。
暖海性の魚で、南方の海で越冬し冬に産卵のため群れで北上します。日本では晩秋頃から岸に近づいてきます。釣りをする人にも人気の魚なので、その時期には多くの愛好者が太刀魚釣りを楽しみます。
太刀魚に含まれる栄養成分とは?
一価不飽和脂肪酸【オレイン酸】
太刀魚はタンパク質より脂質のほうが多い珍しい魚のひとつです。脂質のほうが多い魚は身近なものではサンマ、キンキ、ウナギ、ギンダラ、マグロの脂身などがあります。
※タンパク質 : 16.5g/脂質 : 20.9g (太刀魚(生)100g中)
太刀魚は脂質が多く高カロリーですが、脂肪酸の30%はオレイン酸です。オレイン酸はオリーブオイルと同じく一価不飽和脂肪酸といわれる不飽和脂肪酸です。LDL(悪玉)コレステロールを下げる作用があり、動脈硬化の予防、高血圧の予防、心疾患の予防などに効果があるといわれています。
多価不飽和脂肪酸【エイコサペンタエン酸(EPA)】と【ドコサヘキサエン酸(DHA)】
太刀魚にはオレイン酸の他、多価不飽和脂肪酸(オメガ3系)のエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)も含まれています。エイコサペンタエン酸(EPA)は100g中970mg、ドコサヘキサエン酸(DHA)は100g中1500mgと、いずれも豊富に含まれています。
一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の必須脂肪酸はバランスよく摂ることが大切です。多価1に対して一価1.5という比率が理想的とされている中で、太刀魚の場合のバランスは理想に近く魚類としては珍しい構成のため、脂っこくてもしつこさがないといわれています。
脂溶性ビタミン【ビタミンD】
他の栄養素では、ビタミンDが生の太刀魚100g中14.0㎍と比較的多く含まれています。ビタミンDは脂溶性のため揚げ物などにすると溶け出してしまいます。焼き魚などにすると無駄なく摂りいれることができます。
太刀魚表面の銀色成分「グアニン」
太刀魚の体表にはウロコがなく銀色ですが、これはグアニンという成分に覆われているせいです。かつてはこのグアニンをセルロイドで練り、イミテーションパールや銀箔の原料としていました。近年ではグアニンの中に含まれるガンを抑制する成分に注目が集まっています。
摂りすぎに注意!【パルミチン酸】
太刀魚に含まれる脂肪酸の中には飽和脂肪酸のパルミチン酸も多く含まれています。摂りすぎるとコレステロールや中性脂肪を増やし、太る原因にもなるようです。
また太刀魚には、アレルギー体質の人の病気を誘発したり、炎症を引き起こすこともあるようです。
太刀魚の健康効果とは?
悪玉コレステロールを下げる
太刀魚に含まれる脂肪酸の約30%を占める一価不飽和脂肪酸「オレイン酸」の働きにより、血中の悪玉コレステロール(LDL)値が下がるとされています。またオレイン酸は悪玉コレステロール(LDL)を減らしながら、善玉コレステール(HDL)は減らさない、といううれしい実験結果も報告されています。
胃の不調に
オレイン酸には胃酸の分泌を抑える働きもあります。これはオレイン酸が飽和脂肪酸に比べると胃での滞在時間が短く、その分余計な胃酸を分泌する必要ななくなるということです。
胃酸の分泌が抑えられるため、胃もたれや胸やけ、胃弱、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など、一般に胃酸過多による症状の改善・予防に効果があるとされています。
ガンの予防に
オレイン酸は不飽和脂肪酸の中では最も酸化しにくいといわれています。酸化しにくいために、体内で活性酸素と結びついて過酸化脂質となることもありません。
過酸化脂質はDNAに損傷を与え細胞をガン化させますが、酸化しにくいオレイン酸を積極的に摂取すると過酸化脂質を生じさせないため、ガンの予防に効果があるとされています。
また太刀魚の体表を覆っている銀色の成分「グアニン」を精製すると、抗ガン薬のひとつ6-チオグアニンになります。この薬は、急性白血病への治療効果が大変高いものとして知られています。また、リンパ腫、胃ガンなどにも効果があるとされています。
血液をサラサラに
太刀魚に豊富に含まれている2種類の多価不飽和脂肪酸(オメガ3系)「エイコサペンタエン酸(EPA)」と「ドコサヘキサエン酸(DHA)」には、どちらにも抗血栓作用があります。このため血液をサラサラに保つことができます。
いわゆるドロドロ血といわれる状態は、血液中の赤血球などの柔軟性が失われ血流が悪くなっている状態のことです。血流が悪くなると血液粘度が高まり、循環させるために心臓の負担が高まることで高血圧症を引き起こすことになります。またその状態が続くと全身の細胞へ栄養が酸素が届かず様々な病気になりやすくなります。
EPAには血小板が血管内で固まるのを防ぐ働き、DHAには赤血球の柔軟性を保つ働きがあるとされており、この2種類の多価不飽和脂肪酸により血液をサラサラにすることができるといわれています。
中性脂肪を下げ高脂血症を予防
血管の壁にコレステロールや中性脂肪がたまって固くなった状態を動脈硬化といいます。ドコサヘキサエン酸(DHA)には動脈硬化の原因であるコレステロール値の上昇を抑える働きがあるだけでなく、中性脂肪を下げる効果も確認されています。
DHAは、肝臓で中性脂肪が作られるのを抑制し、さらに肝臓から血液へ中性脂肪が分泌されるのを抑えるため、血液中の中性脂肪を低下させると考えられています。このため高脂血症の予防効果が期待されます。
記憶力の向上
2種類の多価不飽和脂肪酸のうち、ドコサヘキサエン酸(DHA)には記憶力を向上させる働きやアルツハイマー型痴呆の予防効果があるといわれています。他にうつ病などの疾病に対してもDHAの摂取が有効であるといわれています。
また、DHAが不足すると脳内セロトニンの量が減少し、多動性障害を引き起こすという報告もされています。
骨づくりのサポート
骨をつくるのに必要な栄養素がカルシウムであることをご存知の人は多いと思います。でもカルシウムだけでは十分な骨づくりができないことはご存知ですか?カルシウム以外に必要な栄養素が、太刀魚にも多く含まれているビタミンDです。
ビタミンDは食べ物が腸管に入ってきた際、その食べ物に含まれるカルシウムの吸収を促す働きがあります。またカルシウムが排出されないように腎臓での再吸収を促しているのもビタミンDなのです。
また骨の新陳代謝に欠かせない破骨細胞や骨芽細胞を活性化させているのもビタミンD。ビタミンDは骨づくりに欠かせない栄養素といえます。
太刀魚の美容効果とは?
美肌効果
太刀魚に含まれるオレイン酸には美肌効果があるといわれています。実は皮膚を構成している脂肪酸の中に最も多く含まれている成分がオレイン酸。オレイン酸には皮膚を柔らかくする働きがあるため、角質のごわつきや小じわを抑制し改善する効果があるとされています。特に年齢を重ねた肌にはうれしい効果といえます。
便秘の予防
近頃、便秘の予防にオリーブオイルが良いという話を耳にしますが、太刀魚に含まれるオレイン酸も実はオリーブオイルと同じ一価不飽和脂肪酸なので便秘の改善・予防効果が期待できます。
オレイン酸には界面活性作用(乳化作用)があります。この作用により腸内物をやわらかくして排便を促す働きがあると考えられています。
ダイエットの味方
太刀魚は脂質が多い魚ですが、太刀魚の脂質は肉類の脂質とは違い、中性脂肪を減らす効果があるといわれている不飽和脂肪酸がたっぷり含まれています。脂質が多くこってりしていて満足感があるのに中性脂肪は減る、うれしい食べ物だと思いませんか。
また太刀魚にはダイエットで不足しがちな栄養素であるビタミンDやビタミンEもたっぷり含まれているため健康的にダイエットしたいと考えている人にオススメの魚といえます。
ただし、同じく太刀魚に含まれる飽和脂肪酸のパルミチン酸は摂りすぎると中性脂肪を増やし太ってしまいます。あくまでも適量を守るようにしましょう。
太刀魚の栄養素を効果的に摂取する食べ方やポイント
きれいな銀色のものを
体表の銀色が鮮度の目安となります。鮮やかで剥げ落ちていないものを選びましょう。また黄色っぽいものは鮮度が落ちているので避けましょう。体表を銀色に見せているのはグアニンという成分です。グアニンはガンの予防効果などが確認されている成分です。剥げ落ちや傷が多いとグアニンが取れてしまっていることがありますのできれいなものを選びましょう。
また焼き魚にする際に、この皮をはがして焼く、あるいは食べるときにはいでしまう人はいますが、グアニンを摂るためにはできるだけ皮ごと食べるほうが良いでしょう。
煮物以外で
太刀魚は身がやわらかい魚ですので、鍋物や煮物には不向きです。塩焼きや照り焼き、ソテー、酒蒸し、から揚げなどが食べやすいでしょう。新鮮なものが手に入れば刺身もオススメです。刺身にするときには皮を引かずグアニンもしっかり摂るようにしましょう。
ただし、酒蒸しは栄養素が豊富な脂質が落ちてしまいます。蒸し汁も残さないようにすれば無駄なく摂ることができます。
他の食材と組み合わせて
悪玉コレステロールや中性脂肪を下げる働きがあるDHAやEPA、オレイン酸などの効果をさらに高めるためには、他の食材と組み合わせることも効果的です。
例えば抗酸化作用の強いリコピンを豊富に含むトマトと合わせれば、血管の老化を予防し、なおかつコレステロール値を下げ、中性脂肪も減るという、生活習慣病の改善に期待が持てるメニューとなります。
まとめ
太刀魚についてのあれこれ、いかがでしたか?脂っこいのにしつこくないのは、脂質が不飽和脂肪酸だったからなんですね。
DHAやEPA、オレイン酸といったカラダに良い栄養素がいっぱいの太刀魚。表面の銀色の成分がガン予防に効果的だなんて驚きですよね。中性脂肪を減らす働きもあり、脂っこいのに実は意外とダイエット向き。ただし食べ過ぎるとやはり太ってしまうので注意が必要ですね。