天才と統合失調症に相関性は無い、「通説」を否定
天才画家ゴッホは狂気の中で自らの耳をそぎ落とした。天才と分裂症、現統合失調症とは関係があると言われることもあった。どうやらそういう関係はないようだ。
120万人を対象に分析
アメリカのバージニア・コモンウェルス大学とスウェーデンのルンド大学の研究グループが、米国精神医学会の機関誌、アメリカン・ジャーナル・オブ・サイカイアトリー誌で2015年3月1日に報告した。研究は、1951年〜1975年に誕生したスウェーデン人男性およそ120万人について、18歳〜20歳の時点で行われたIQテストの結果と2010年時点の病院での診断に基づいて行われた。また、いとこや、兄弟、異父兄弟、異母兄弟など血縁関係にある人たちをペアにして、同じ遺伝子を共有する人の間でのIQと統合失調症の関係を調査した。
親戚の中でIQ低いとなりやすい
結果として、IQが1ポイント低くなると統合失調症のリスクが3.8%上昇することが判明した。遺伝的に統合失調症になりやすい家系の中では特にIQの差がほか親戚と比べて大きいと、発病のリスクが高くなると分かった。IQの高い方が統合失調症になりにくいという結果。「天才が統合失調症になりやすい」という通説は否定された。
文献情報
Kendler KS et al. IQ and Schizophrenia in a Swedish National Sample: Their Causal Relationship and the Interaction of IQ With Genetic Risk.Am J Psychiatry. 2015; 172: 259-65.
Am J Psychiatry. 2015 Mar 1;172(3):259-65. doi: 10.1176/appi.ajp.2014.14040516. Epub 2014 Nov 7. Research Support, N.I.H., Extramural; Research Support, Non-U.S. Gov’t