[気管支炎の症状・治療法]子供や大人・年齢に別でチェックすべきポイント!熱や咳などのだるい症状が続く場合は要注意!
一般的に気管支炎とはどういう病気?
気管支炎とは、咳や痰・発熱を主症状とする病気の総称
気管支炎とは一般的に微生物の感染によって気管支粘膜に炎症が起こり、咳や痰、発熱を主症状とする病気の総称です。その種類は細かく分けるとたくさんあり、原因や症状も少しずつ違ってきます。なかでも多いのは、かぜやインフルエンザなどのウイルス感染による急性気管支炎です。かぜをひいたあとに咳や痰がしばらく続くということが多いので、発熱を伴うこともあります。
慢性気管支炎では数週間から数カ月の間にわたって症状が続きますが、発熱は続きません。もし発熱を伴う咳や痰が長期間続いているのであれば、他の疾患にかかっている可能性があります。慢性気管支炎は長年タバコを吸っている方に起きやすい病気で、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の中に含まれています。
どちらも気管支炎という診断名ですが、原因が大きく異なるので治療もまた違ってきます。ですが、気管支に刺激が加わると咳や痰の発作が起きるのは同じです。
気管支炎の特効薬は存在しない
治療はウイルス感染によるものであれば、特効薬はありませんので対症療法と安静が基本です。「鎮咳薬(せきどめ)」や「去痰薬(痰きり)」などが処方されます。症状がひどい場合は気管支ぜんそくのときに使われる「気管支拡張薬」を使うこともあります。
一方、慢性的な気管支炎ではタバコが原因であるならまずは禁煙を行います。症状が進行し呼吸不全になると、血中の酸素濃度が減ってくるとちょっとした運動でも「ゼイゼイ」と息苦しくなるので、在宅酸素療法といって日常生活で携帯酸素ボンベを使うこともあります。
気管支の働きとは?
気管はのどから肺まで続く細長い空気の通り道のことで、個人差はありますが、その長さはおよそ10~11センチあります。気管が左右の肺に枝分かれしてからは気管支と呼ばれます。
気管支は、表面に線毛(せんもう)と呼ばれる毛のようなものが生えていて、粘液を分泌する細胞「杯細胞」とで成り立っています。私たちが呼吸をすると、そのたびに外界からのチリや微生物を含んだ空気が通過しますが、侵入したこれらの異物を追い払い、気管支をきれいに保つはたらきをしているのが線毛です。気管支に入ってきた異物は杯細胞から分泌される粘液がキャッチします。すると線毛がはたらき、口から外へ咳とともに痰として排出されるのです。
タバコを吸った後に痰が出やすくなるのも、有害な物質を吐き出そうとする線毛の働きのためです。
急性気管支炎とは?
小さなお子さんからお年寄りまでかかる可能性のある気管支炎です
急性気管支炎とは、ウイルス感染がほとんどの原因で気管支に炎症が起こる病気です。かぜやインフルエンザなどと合併することがあり、主な症状は咳や痰ですが、発熱が見られることもあります。ウイルス以外ではマイコプラズマやクラミジアが原因で起こりますが細菌感染はまれだと言われています。
その原因からも分かるように、かぜやインフルエンザにかかる方なら誰でも気管支炎になる可能性があります。とてもありふれた病気です。
気管支炎の診断基準はありませんので、肺炎などとの鑑別が大切です。特に赤ちゃんやお年寄りは肺炎にかかることもありますので、症状をしっかり見極めることが必要です。この肺炎の否定を行うためには聴診や胸部レントゲン検査が行われることもあります。他にインフルエンザや百日咳が疑われた場合は、それらを特定するために個別の検査を行い治療を行います。
急性気管支炎の治療法
治療には、安静と対症療法が行われます。咳をしずめる「鎮咳薬」、痰を切りやすくする「去痰薬」などが主に処方されますが、咳がひどい場合には「気管支拡張薬」も追加されることがあります。もしインフルエンザが原因と判明した場合には、イナビルやタミフルなどの抗インフルエンザ薬が処方され、発症から48時間以内に使用できると効果があると言われています。
かぜだと思い込んで市販薬を飲み続けている場合も
みなさんの中にはかぜをひいたかなと感じたときに、自分で判断して市販薬を飲んでいる方はおられませんか?気管支炎の症状にはのどの痛みや鼻水などから始まりかぜに似たものもありますし、実際かぜと気管支炎を合併することも多いので、それは間違いでないかもしれません。
このとき危険なのは症状が隠れてしまうことです。咳止めなどが成分に入っている場合はいくらかラクになることもあるかもしれません。しかし根本的な治療が行われていない場合、治りが遅くなるどころか何か重大な病気が隠れているのにもかかわらず、気付いていないだけなのかもしれないのです。
症状が続く場合は多少忙しくてもそのままにせず、かならず専門医に相談するようにしてください。
慢性気管支炎とは?
慢性気管支炎はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に含まれます
慢性気管支炎は数週間から数カ月に及び、咳や痰の症状が続く状態のことを言います。主な原因は喫煙ですが、そのほか百日咳、抗酸菌や緑膿菌などの感染症以外に、副鼻腔気管支症候群、びまん性汎細気管支炎などの疾患が原因となっていることもあります。
慢性気管支炎は「慢性肺気腫」とともにCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に含まれ、肺炎や呼吸不全を起こしやすくなると言われています。WHO(世界保健機構)では死因の第4位に挙がっており、タバコが原因と考えられていることから「肺の生活習慣病」とも呼ばれています。
症状は咳や痰に加えて、息切れが見られます
慢性的な咳や痰が見られるのに加え、慢性気管支炎では気道が狭くなっているため体を動かしたときに息切れ、呼吸が苦しくなることがあります。これらの症状は3割くらいの方は年中見られることもありますが、特に冬に悪化し、その他の季節には症状がいったん落ち着く傾向があります。
喘鳴が聞かれることもありますが、気管支ぜんそくのように発作的なものではありません。
原因はタバコをはじめ、アレルギー、大気汚染などがからんでいます
慢性気管支炎が起こる原因のほとんどはタバコによるものです。しかし、それだけではなく、いくつもの要因が重なって起こると考えられています。他には加齢、アレルギー素因、気道の状態、大気汚染、細菌やウイルスの感染などがあり、これらが影響しあって発症すると言われています。
また、加齢とともに気管支腺が肥大することも関係しています。気管支腺は気道の粘液生産と分泌に関係する器官です。慢性気管支炎を発症している方は、粘液が過剰に分泌される状態にあるので痰が増えたり、気道に炎症が起きやすくなっています。そうして気道に炎症がおこると、気道が狭くなり空気がうまく流れなくなるため、呼吸が苦しくなるのです。
慢性気管支炎の特徴
40歳以上の中年期以降の方に多く見られ、男性の患者さんは女性の約2.5倍となっています。
大気汚染とも深い関連があるため、大気汚染が認められる地域で生活していたり、粉塵刺激性のガスのある職場で働いている方にも特に多く見られます。
治療は禁煙と気管支拡張薬の使用が中心
治療を行うにあたってまずは禁煙が最優先です。そのうえで内服薬を使うか、症状が進行しているならば在宅酸素療法を考慮します。
気管支拡張薬は慢性的に狭くなった気管支を広げる薬のことで、慢性気管支炎に効果があると多くの研究で報告されています。しかし、患者さんの中には副作用が出る方もいるので、それぞれに合った種類、量を判断することが必要になります。もしいったん副作用が見られた場合でも、他の薬に変えると軽減する場合もありますので、自己判断で休薬せず主治医の判断を受けるようにしてください。訴えとして聞かれるのは手の震えや動悸などです。
慢性気管支炎が進行すると、血中の酸素濃度が低下し呼吸不全に陥ることがあります。そんなときに行われる在宅酸素療法は、外出するときや家で生活しているときも携帯の酸素ボンベを持ち歩いて吸入する治療法です。実際には下の画像のようなカニューレと呼ばれるチューブやマスクを鼻と耳にかけて酸素ボンベから微量の酸素を持続的に注入しているため、タバコの火が引火しないよう絶対に禁煙しなければなりません。
子供に多い気管支炎の症状とは?
子供にも大人と同じ気管支炎は起こりますが、それ以外に子供特有の気管支炎もあります。小さなお子さんは身体が小さいために気管や気管支が細く、呼吸機能も未熟で、「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」などの喘鳴(ぜいめい)が起こりやすくなっています。そのため、呼吸状態が悪くなりやすく、同時に食事や水分が摂れなくなり脱水症状を起こすといった事態にもなることがあります。
同じような症状を起こす似たような病気もたくさんあるので、発熱や咳が見られるようなことがあれば保護者だけで判断せず、かならず病院を受診するようにしてください。
2歳以下の乳児に起こりやすい急性細気管支炎
細気管支は空気が通る一番細い気管支ですが、炎症が起こることでさらに細くなり、空気が通りにくくなります。これにより吸うことよりも吐き出すことがツラくなる喘息のような発作が起こります。こちらを急性気管支炎といい、2歳以下の乳児に起こりやすい病気とされていますが、大人の方にも起こることがあります。
原因は主にRSウイルスによる感染なのですが、似たような症状に気管支ぜんそくや異物の誤嚥によるものがあり、それぞれ治療が違うため鑑別が必要になります。大人の方ではマイコプラズマが原因となることもあります。
症状としては努力しないと呼吸できないような呼吸困難を伴い、「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」と気管支ぜんそくのような喘鳴が聞かれます。症状がひどくなると皮膚や唇が紫色になるチアノーゼが見られることもあります。多呼吸や陥没呼吸が見られることがあり、こうなるとお子さんは口で伝えられなくてもとてもしんどいのですぐに病院を受診するようにしましょう。
RSウイルスには有効な抗菌薬がないため、十分な酸素を与えることと脱水の予防が治療の中心になります。
原因不明の喘鳴は「喘鳴性気管支炎」と呼ばれる
小さなお子さんの場合は息を吐くときに、「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」といった喘鳴がしても、それがすべて気管支ぜんそくによる症状とはかぎりません。それは、乳幼児の気管が未熟であるため、ウイルス感染などにより簡単に内腔が狭くなってしまうからです。
ですので、その時点でまだ原因不明の喘鳴を総称して、「喘鳴性気管支炎」や「喘息様気管支炎」などと呼ぶことがあります。ですがこれらは正式な医学書には存在しない病名です。少し大きくなってくると経過をみてそれが「気管支ぜんそく」と診断されるかもしれませんが、乳幼児の場合はなかなか診断がつかないこともあります。
治療には一般的に、原因であると思われる感染症の治療や気管支拡張薬が処方されます。ぜんそくで使われるテオフィリンや気管支拡張作用のある薬は、構造がカフェインに似ているため小さなお子さんが内服した場合、興奮や不機嫌、けいれんなどの副作用が出やすいとされており、乳児、熱性けいれんの既往や家族歴がある場合処方は控えるようにと言われています。
中年以降に見られやすい気管支炎とは?
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
「40歳以上でタバコを吸っているもしくは吸っていた」「咳や痰の症状が続く」「階段を上ると息切れがする」などの症状がある方はCOPDかもしれません。COPDは別名「慢性閉塞性肺疾患」と呼ばれ、「慢性気管支炎」と「慢性肺気腫」のどちらか、またはどちらも発症していることで肺への空気の流れが悪くなる病気です。この主な原因は喫煙であり、多くは中年の男性に見られます。WHO(世界保健機構)では死亡原因の第4位に挙げられており、2020年には第3位になるだろうと予測されています。
日本では40歳以上の8.5%(男性13.1%、女性4.4%)、COPDの潜在患者は530万人以上と推測されていますが、治療を受けているのはそのうち5%未満といわれています。
COPDの原因の90%はタバコ
COPDを発症する方の90%は喫煙者であると言われています。ですので、この治療にはまず禁煙することが必要です。よってCOPDは「タバコ病」や「肺の生活習慣病」とも言われています。
驚くことに、タバコを吸わない人でも4.7%の人がCOPDを発症すると言われています。これは、副流煙による「受動喫煙」によって起こるもので、その危険性を物語っています。副流煙には喫煙者が吸う主流煙よりも発ガン物質をはじめとする有害物質、たとえばタール、トルエン、メタンなどが多く含まれています。
家族にヘビースモーカーがいたり、分煙されていない職場で仕事のパートナーに喫煙者がいる場合はCOPDにかかる危険性が高まります。
代表的な症状は「息切れ」なのでしばらく気付かれないことも
慢性気管支炎の代表的な症状に「息切れ」があります。中でも階段を上ったり、坂道を歩いているときに他の人と比べてペースが遅れがちなところから気付くことがあります。本人もわずかに自覚症状はあっても、加齢によるものだとか運動不足と思ってしまいがちでなかなか気づきません。
あとは慢性的に咳や痰の症状が続きます。症状が進行すると、意識的に口をすぼめて呼吸したり胸の前後の幅が膨らみ、ビア樽の形のようになることもあります。
治療にはまず禁煙!
タバコを吸っている人の肺の映像を見たことがありますか?COPDになると呼吸機能は元の健康な状態には戻らないので、「今より悪くしないこと」が治療の最も重要な点になります。タバコを吸っている場合は、症状をそれ以上悪化させないようにまずは禁煙を行う必要があります。同時に、気管支を広げて呼吸しやすくする「気管支拡張薬」痰を切れやすくする「去痰薬」などが対症療法として用いられます。
また、息が切れると動くのがおっくうになり、運動不足になって運動機能が低下し肺の機能がますます悪化するという悪循環になりがちです。そのため、ウォーキングなどの適度な運動や腹式呼吸も効果的です。
慢性気管支炎の患者さんはインフルエンザや肺炎などにかかった場合に重症化する危険性があります。インフルエンザが流行する時期には手洗いうがいをしっかりと、ワクチン接種も受けておくなど十分に注意することが大切です。
びまん性汎細気管支炎(DPB)
びまん性汎細気管支炎とは、気管支と肺胞の境界にある空気が通る一番細い「細気管支」というところに慢性的に炎症が起こる病気のことです。この病気は人種による特異性が強く、日本、韓国、中国で多くみられ、欧米人での発症は極めてまれです。発症する年齢は10~70代までと幅広いのですが、特に中年以降に多く、喫煙とは関係はありません。
明らかな原因は不明ですが、慢性副鼻腔炎を合併することが多いことから、気道の防御機構に関連する遺伝子や体質的な要因が関係しているのではないかと言われています。
症状は慢性の痰、咳、体を動かしたときに出現する息切れなどがあります。痰は初期には少ないですが、細菌感染が加わると量が増え、黄色~緑色などの膿性の痰になります。病状が進行すると、さらに痰の量が増え、安静にしているときでさえ息切れが見られるようになり呼吸不全になることもあります。
以前は、呼吸不全が進行し予後が悪いことが多かったのですが、抗菌薬の少量長期療法が開発されたことで、予後は著しく改善されました。まずはこのエリスロマイシンの少量長期投与が行われます。
もしかして気管支炎?チェックすべき症状とは?
ここまで読み進めてみて、自分は急性気管支炎かも?と思われた方に、おうちでできる症状チェックを行ってみましょう。
以下の問いに「はい」か「いいえ」で答えてみてください。
絶対にチェックしたい10個の特徴や症状
1、痰のからんだ咳が出ますか?
2、熱がありますか?
3、最初はからぜきをしていて次第に痰のからんだ咳にかわりましたか?
4、かぜやインフルエンザにかかっていましたか?
5、咳き込むと胸の奥が痛みますか?
6、刺激性のガスを吸い込んだり大気汚染のある場所で生活していますか?
7、花粉などにアレルギーがありますか?
8、運動すると激しく咳き込みますか?
9、冷たい空気を吸ったり、乾燥した場所に行くと咳き込みますか?
10、タバコを吸っていますか?
気管支炎は早期の受診がおすすめ
いかがですか?項目が多いほど気管支炎になっている可能性が高いかもしれません。
安静にし、部屋を乾燥させないように加湿に気を付けましょう。水分量が足りていないと痰がネバネバしてしまいます。体を冷やさないよう温かくして、水分をよく摂るようにしてください。
気管支炎の症状が赤ちゃんや子供さんにある場合は、熱の有無、咳の状態、呼吸がしんどそうでないかをチェックし、病院を受診するようにしましょう。
※なお、こちらの症状チェックは特徴的な症状に対して、一般的に見られる傾向を判断して行われるものですので、みなさんの病気を個別に診断するものではありません。参考程度にとどめ、実際の診断は専門医にお任せするようにしてくださいね。
気管支炎を予防するためにできる5つのこと
気管支炎症状の原因はさまざまであることが分かっていただけましたか?今度はそれぞれの予防法について見てみましょう。
気管支炎の症状はうつる?
気管支炎の咳をしている方が近くにいると、うつってしまうのでしょうか?
気管支炎は上に挙げた通り様々な原因で起こりますので、かぜやインフルエンザなどによるウイルス感染が原因の急性気管支炎などはうつる可能性は十分考えられますね。しかし、ウイルス感染していない状態で、喫煙やアレルギーなどが原因で起こっている気管支炎がうつるということはほぼありません。
ですが、満員電車などで近くにいる方がウイルス性の気管支炎なのか、かぜなのか喫煙による慢性気管支炎であるかは聞いてみないと分かりませんよね。だからといって、あなたはかぜですか?などと聞くわけにもいきません。
ですので、気管支炎を予防する一番の方法はまずご自身がしっかりと対策をとるということであると言えます。ではここで実際に、その予防法にはどんなものがあるのか考えてみましょう。
気管支炎の予防(1):規則正しい生活を心がけ、栄養バランスのとれた食事をする
気管支炎にかからないためには、最大の原因であるかぜやインフルエンザウイルスにかからないようにするというのが一番の予防法となります。ウイルスを吸い込んでも、実際気管支炎にかかるのは7割程度で、すべての人が発症するわけではありません。発症するのは、吸い込むウイルスの量、ウイルスに対する抵抗力の程度、慢性の呼吸器疾患の有無などに左右されます。
よってかぜや気管支炎の予防としては、規則的な生活を心がけ、バランスのよい食事と十分な睡眠をとり抵抗力を低下させないようにすることが大切です。このとき免疫力を高めると言われているビタミン類を摂るように心がけましょう。
気管支炎の予防(2):外出時のマスクの着用、帰宅時の手洗いうがい
こちらも感染予防に関するものですが、外出時にはウイルスの接触感染、飛沫感染を防ぐことが大切です。そのためにマスクの着用をし、帰宅時には身の回りについたウイルスを物理的に洗い流すよう手洗い、うがいを習慣にしましょう。最近では感染の拡大を防ぐために、厚生労働省から以下のような「咳エチケット」が呼びかけられています。
*せき・くしゃみの際はティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけ1m以上離れる。
*鼻汁・痰などを含んだティッシュをすぐに蓋付きのごみ箱に捨てられる環境を整える。
*咳をしている人にマスクの着用を促す。咳をしている場合、周りの方へうつさないためにマスクを着用する。
*マスクの使用は説明書を読んで、正しく着用する。
ご自身の身を守るため、また周りの人への感染を防ぐため咳エチケットを心がけましょう!
気管支炎の予防(3):室温、湿度を適切に保ちましょう
こちらは感染予防にも症状の緩和にもつながることですが、ウイルスは通常低温、低湿の場所を好みます。また、空気が乾燥すると私たちののどの防御反応が弱まってウイルス感染を起こしやすくなります。この両方の理由が重なるので、冬にかぜやインフルエンザが流行してしまうのです。
そのため、冬の時期は室温を適度に温かくし加湿をすることが大切ですが、このときの最適な湿度は50~60%と言われています。
気管支炎の予防(4):タバコを控える
慢性気管支炎の最大の原因はタバコであることは先ほどもお伝えしたとおりです。私たちの肺機能というのは加齢とともに低下していきますが、それは20歳代で始まると言われています。そして、喫煙はさらに肺機能を低下してしまう原因の一つなのです。肺機能が低下するともちろん呼吸のしやすさにも影響してきます。
慢性気管支炎はCOPDに含まれますが、呼吸不全になると慢性的に呼吸が苦しくなったり血中の酸素濃度が低下し、酸素ボンベを手放せなくなることがあります。しかもこちらの病気は増加の一途をたどっており死因の上位となっています。このことから、タバコを控えることは気管支炎を予防するだけでなく、寿命を延ばすことにもつながっているのです。
気管支炎の予防(5):早めの病院受診を
かぜやインフルエンザにかかったかなと思ったら、早めに病院を受診して薬を飲みつつ安静にすることで、気管支炎の合併を防ぐことができます。特に、かぜをひいたあとに咳が長引きやすい方は早期に対応しておくことで、症状が長引くことを防げます。気管支炎の症状は発熱なしの場合も多くありますし、他の症状があるのに咳がでない場合は他の病気を疑ってみる方がよいのかもしれません。こちらの判断はぜひ専門医の方にお任せしましょう。
また慢性的な呼吸器疾患を持っている方はかぜをひいたときには直ちに病院を受診し、肺炎に進行しないように早めに抗生物質を服用するのがよいと考えます。こんなときのために、近所でかかりつけの病院を持っておくと、過去の傾向が分かってもらえるのでおすすめです。
気管支炎の症状に関するみんなの体験談や感想まとめ
すいみさん(大学院生・25~29歳・女性)
私は大学2年生の夏に気管支炎になりました。最初はただの風邪でした。薬を飲んで、時間が経てば、熱や鼻詰まりなどの風邪の症状は治っていきました。ですが、咳だけはどれだけ経っても治らず、市販の咳止めを飲んでも治りませんでした。風邪なのにおかしいなと思いながら、大学の講義を受けていると、急に息苦しくなって咳が激しく出始めました。のどにイガイガするよな異物感を感じるようになり、喉が狭まったような症状になりました。その後、少し経ってから治まりましたが、息ができないような、喉が締まったような症状が出ていました。耳鼻科に行ったことで、気管支炎は一旦治まりましたが、今でも風邪をひくと再発するようになっています。
入間さん(会社員・35~39歳・男性)
社会人になって、2年目後半に気管支炎と診断されました。症状は咳が止まらない、呼吸をするとぜえぜえするような状態でした。ただし、発熱はなく咳ばかりでした。原因はお風呂の中で眠ってしまい。お湯が冷えて水になった状態で、浸かり続けていたの原因だそうです。当時を思い出すと実家ぐらいしで、親と同居していたのが、幸いでした。お風呂から中々でてこないので、親が寝ていることに気付いてくれた。これがもし一人暮しでいたら、どうなっていたかと思うとぞっとします。
りくさん(専業主婦・30~34歳・女性)
元々アレルギー性鼻炎をもっていて、扁桃腺が腫れやすくすぐ風邪を引くのですが、風邪が長引くと、気管支炎に発展することが多いです。喉の痛み→熱→咳がとまらないの順番でくるのですが、この咳がとても辛いです。日中は、マスクをしたりうがいをしたり、のど飴をなめたりして、しのげているのですが、夜がとにかく辛く、横になると咳が止まらなくなり、1時間に1回咳き込んで起きるといった症状が続きます。病院へいって、体に貼るシールや、咳止めの薬を貰い、ようやく落ち着いてくるといった状況でした。
ラルさん(専業主婦・30~34歳・女性)
2歳の子どもが風邪を引くたびに鼻水と咳と熱のセットにかかるのですが、必ず長引いて、咳が止まらないようです。喉も痛いのか全然ご飯も水分も取ってくれません。手洗いうがいは保育園でも家でも心がけてはいますが・・・。夜中寝てても咳き込んで泣いて起きたりととても苦しそうです。のど飴をあげてもすぐガリガリとかじってしまいます。いつも通ってる病院で10分ほどの薬と水蒸気が混じったお薬を吸引し、1日1回胸に張るシールと咳止めの薬でなんとか毎回落ち着いてくれます。
幸太郎さん(会社員・35~39歳・男性)
私は元々気管支が弱いために、風邪を引くと必ずと言っていいほど気管支炎を発症します。気管支炎の症状としてはしつこい乾いた咳が何日も何日も続きます。たんが絡みやすくなるので、呼吸をするのさえも辛いです。私の場合一度発症すると最低でも2週間はこの咳に悩まされます。咳は発作的なもので、一度で始めるとなかなか止まりませんし、それは場を選ばず、しかも夜寝ている時でも起こります。(そのため睡眠不足にもなりがちです。)市販の薬では効果は薄く、いつも病院で薬を処方してもらいますがそれでも治りの悪い症状です。
気管支炎を防ぐには感染症予防と禁煙を!
いろいろな気管支炎の種類を見てきましたが、原因が感染症であるものが多いと思いませんか?感染症を防ぐにはまずは私たちの抵抗力を高めることと、自己防衛が大切です。咳エチケットなどはチラホラ耳にする機会も増えてきましたが、感染拡大を防ぐために大切な予防策だと思います。
もう一つは肺機能を低下させてしまうタバコです。タバコに侵された肺はもう元には戻りません。アレルギーや職業上さらされる大気汚染や化学物質に関してもできるだけ防ぐ必要がありますが、禁煙はすぐにでも行うことができる習慣です。呼吸不全になる前に、今以上肺機能を悪化させないことが大切なのではないでしょうか。
近年、こういった「ニコチン依存症」に対する保険診療が行われています。禁煙パイポやニコチンパッチで効果がないと思われた方も、こちらは内服治療になりますので一度相談に伺ってみるのはいかがでしょう。こちらは内科でも行われているので、ご近所の診療所でも行われているかもしれません。一度、問い合わせてみるようにしてください。
家族やご自身の肺を守るためにも、禁煙は重要なことです。ぜひ挑戦してみましょう!