創造性の遺伝子、統合失調症や双極性障害の遺伝子と同じルーツかもしれない

クリエイティブな仕事についている人の遺伝子を調べたところ、統合失調症や総合失調症の遺伝的なリスクも高いと分かった。英国キングズ・カレッジ・ロンドンの研究グループが、神経科学分野の国際的専門誌ネイチャー・ニューロサイエンスで2015年6月8日に報告した。
芸術家も含めて遺伝子を解析
精神病に苦しんでいたゴッホの事例をはじめ、クリエイティブな仕事についている人が、精神的な病気にも近いと言われるのは珍しくはない。研究グループによると、従来の研究でも、精神病理学的な障害、特に双極性障害は、創造的な職業の人々が多くいる家族で見られる傾向があると示されていた。環境的な要因を共有しているからなのか、社会的、経済的な状況を共有しているからなのかはよく分からないところがあった。研究グループは、アイスランドの住民8万6000人の遺伝子サンプルを使って分析をした。クリエイティブな特徴を持つ人を抽出するために、俳優、ダンサー、音楽家、視覚芸術家、作家などの職業に就く人のための全国的な協会所属者を基準とした。
リスクスコアが高い
アイスランドの住民8万人以上の遺伝子サンプルを調査した結果、クリエイティブなセンスのある人につながっている遺伝子を持つ人では、統合失調症や双極性障害の遺伝学的なリスクスコアについても普通の人と比べると高いと分かった。病気のある人と普通の人との間の中間値となっていた。創造性のある人々は、普通とは異なった考え方をするような遺伝子的な要因を可能性があり、生物学的あるいは環境的に有害な要因と結びつくと、精神病につながる可能性もあると研究グループは指摘する。天才と障害との間は紙一重なのかもしれない。
文献情報
Schizophrenia and bipolar disorder may share genetic roots with creativity
Power RA et al.Polygenic risk scores for schizophrenia and bipolar disorder predict creativity.Nat Neurosci. 2015 Jun 8. [Epub ahead of print]
Polygenic risk scores for schizophrenia and bipolar disorder predict creativity. – PubMed – NCBI
Nat Neurosci. 2015 Jul;18(7):953-5. doi: 10.1038/nn.4040. Epub 2015 Jun 8. Research Support, N.I.H., Extramural; Research Support, Non-U.S. Gov’t