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【ホルムアルデヒド】水道水や家具、マニキュアに発がん性物質が?シックハウスの原因にも!測定・除去方法を知って対策しよう

ホルムアルデヒドの原因や解決方法を知ろう

ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群や水質汚染問題によって、近年問題視されている化学物質です。急性中毒になると、目や鼻、のどや胃腸に炎症を起こしたり、アレルギー性皮膚炎の要因になったり、肺炎などを起こして死亡することもある、毒性の強い劇物です。

また、発がん性があるとされ、長期にわたって吸引した場合、がんやリンパ腫、白血病などを引き起こす可能性もあるといわれています。

危険な劇物であるホルムアルデヒドですが、私たちの日常にありふれた物質でもあり、防腐剤や接着剤、家具、衣類、食器、化粧品、食品、水道水や大気にまで含まれていることがあります。

今回は、ホルムアルデヒドの特徴、様々なものに含まれてしまう原因、測定方法や軽減方法、除去グッズなどを解説しますので、ぜひ生活にお役立てください。

ホルムアルデヒドとは?

意味、特徴

ホルムアルデヒドとは、強い毒性をもつ有機化合物で、「毒薬及び劇薬取締法」で指定されているため、取り扱いに際しては安全ノート(material safety data sheet, MSDS)が用いられています。

MSDSによる特徴は、刺激臭のある無色の気体で、可燃性があり、沸点は-19.5度、水やアルコール、エーテルにすぐ溶けるとされ、濃度37パーセント以上の水溶液はホルマリンといわれます。

フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などの原料に使われ、安価で加工しやすいので、接着剤、塗料、防腐剤、プラスチックなどに広い用途使われています。特に、合板を作ったり木材を接着するときに大量に使用されるため「シックハウス症候群」の原因物質のひとつとして近年問題視されています。

砂糖、石炭、木材などの有機物が不完全燃焼した時に発生するため、ウインナーなどの燻製食品をつくる煙にも多く含まれているようです。また、健康に影響はないとされていますが、乾燥シイタケや一部の魚類など自然食品にも微量に含まれているそうです。

また、工業廃水によって水道水に含まれていたことがあり、水質基準値や食品衛生法による規制が定められています。

ホルムアルデヒドが拡散した空気を吸い込んだり、ホルムアルデヒドが溶けた水に触れた場合、鼻やのどの灼熱感、咳、喘息、息苦しさ、呼吸困難、肺水腫、頭痛、吐き気、涙、視力喪失、中枢神経への影響、排尿障害、血尿、筋肉などの痙攣、湿疹などの症状が現れることがあります。

体への影響は、濃度によって急性中毒があり、目や鼻、のどなどの炎症、アトピー性皮膚炎、視覚障害、消化器障害、呼吸器障害などを引き起こすといわれています。

また、気化したホルムアルデヒドを長期間吸うと、発がん性があるとされており、骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、上咽頭がんの原因物質であると、国際がん研究機関や米国環境保護庁によって特定されています。

空気中のホルムアルデヒドの測定方法

・検知管方法
ホルムアルデヒドと反応して色が変わる薬が入ったガラス管に空気を通し、どのくらい色が変わったかでホルムアルデヒドの濃度を測る方法です。

・(高速液体)クロマトグラフ法
空気を薬に吸着させ、そこに集まった様々な化合物を分離し、ホルムアルデヒドの量を調べる方法で、最も正確な方法のひとつともいわれ、空気の捕集方法の違いによって、アクティブ法とパッシブ法があります。

・アクティブ法
捕集剤にむりやり空気を通らせる測定法です。家具を搬入して(新築の場合)、換気を行った後、窓をすべて閉めて5時間以上放置して測定します(14~15時の最も暖かい時がいいようです)。

・パッシブ法
捕集剤を吊るしておく方法です。家具などの搬入後換気し、窓をすべて閉めて5時間以上そのままにして測定しますが、測定時間は24時間(少なくとも8時間以上。14~15時をまたぐのが望ましい)です。

・吸光光度法
ホウ酸溶液に空気を通してホルムアルデヒドを集めます。この溶液に試薬を混ぜると赤紫色に変わるので、約550nmの波長で吸光度を測る方法です。

最も費用が安いのは検知管方法ですが、クロマトグラフ法は正確性に優れいるため厚生労働省も指定していますし、近年費用も下がってきているので良いようです。新築後やリフォーム後の最適な時期は、家具などの生活用品をすべて運んでから、ふだんの生活環境に近い状態で測定するのが良いそうです。

建築物環境衛生管理基準によって、空気調和設備や機械換気設備を設けている居室(居住、執務、作業、集会、娯楽などに使う部屋)のホルムアルデヒドは、0.1 mg/m3以下(=0.08 ppm以下)でなければならないと義務付けられています。

また、ビル管理法によって、新築や増築、大規模な修繕や模様替えを行った場合、建物を使用し始めてから初めの6月1日~9月30日の間に、厚生労働省が指定した方法でホルムアルデヒドを測定することが義務付けられています。

測定を行ってくれる業者もありますが、検知管方法のための検知器や、クロマトグラフ法のための吸引器をレンタルしている業者もあります。業者、面積、箇所によっても変わってきますが、クロマトグラフ法なら8000~30000円ほどの価格帯が多いようです。

DAIKENでは、他の汚染化学物質(VOC)の測定と併せて32000円(ホルムアルデヒドのみは17000円)、東和総合サービスであれば7000円、太陽テクノリサーチでは15000円(他のVOCと併せて)、環境研究センターでは8000円(ホルムアルデヒドのみ)という値段になっています。

塩素と放射能の関係性

ホルムアルデヒド自体がなくても、川に工業廃水などが流れ込んでしまうと、そこに含まれるヘキサメチレンテトラミンなどが、浄水場で塩素と化学反応を起こすことでホルムアルデヒドが生成され、水道水にホルムアルデヒドが含まれてしまうことがあるといわれています。

水道水の放射能汚染への不安などから、水道水から検出されるホルムアルデヒドも、放射能が関係しているのではないかという噂がありましたが、分子構造上、その説は根拠が薄いようです。

身近に潜む危険

ダイソー100円マニキュア

2015年8月に「ダイソー」が発売したマニキュア「エスポルールネイル」を使った消費者から、手荒れや爪の変色などの苦情が寄せられて、回収したところ、26商品からホルムアルデヒドが検出されたため、同社は全148種類の販売中止と自主回収を発表しました。

ホルムアルデヒドを含有する化粧品は、日本と台湾では禁止されていますが、中国や韓国、東南アジア、アメリカやEUなどでは認可されているため、中国工場で生産されたマニキュアにホルムアルデヒドが含まれてしまったようです。

シックハウス症候群が問題になってから、日本では様々な規制が敷かれましたが、一切禁止されているわけではありません。

子供用のオムツや寝具、大人用の衣類、ウィッグやつけまつげなどにも量の規制があるだけですし、家具のツヤ出し、自動車用のワックス、シャンプー、制汗剤などに含まれていることもあるそうです。

体に直接触れる下着や衣類などは、皮膚刺激を感じやすく、アレルギー性皮膚炎を引き起こすこともあるため、ホルムアルデヒドの量が基準値以下であっても、肌の弱い方やお子さんのものは一度洗濯してから使うのが良いでしょう。

急性中毒性の呼吸器障害や消化器障害、目や鼻、のどの炎症などを引き起こすこともあり、また、長期間吸引した場合は、がんや白血病の原因になることもある発がん性物質にもかかわらず、国産の商品だけでなく、規制が厳しくない国の海外製品には、それより多い量で含まれている可能性もあります。

ニューヨークのネイルサロンでも被害が問題になったことがあるそうで、ホルムアルデヒド、トルエン、フタル酸ジブチルが三大毒素といわれるようになりました。

建材や家具

ホルムアルデヒドは建材や家具の接着剤、塗料、壁紙用の糊、合板などに多く使われています。ホルムアルデヒドを含まないものを使うのが一番ですが、新築や改築をしてから異臭に気づくということもあるかもしれません。

リフォームや新築工事の直後は接着剤や塗料が十分に乾いていないこともあり、ホルムアルデヒドなどの揮発性物質が空気中に流れこみ、吸い込んでしまうことがあります。新築工事から2~3週間は通気させてからの入居をおすすめします。

十分な時間をおけない場合は、「ベイクアウト法」を行いましょう。ベイクアウト法とは、ヒーターなどで室温を30~40度で数日間保ち、建材などに含まれる化学物質を空気中に拡散させる方法です。

新築工事から2~4か月にベイクアウト法を30度で1~3日行うと、ホルムアルデヒドの濃度が約23~52パーセント下がり、室温を上げるほど、また日数を延ばすほど、その効果は大きくなるという研究報告があります。

ただし、ホルムアルデヒド以外の化学物質も空気中に拡散するため、ベイクアウト後の換気は徹底しなければなりません。

入居後に異臭がしたり、目に刺激を感じたりといった症状が現れた時はすぐにすべての窓を開けるか、その場を離れ、軽症の場合は安静にしてください。重症の場合は、症状が現れた部位の専門医を受診するようにしてください。

水道水

2012年5月、利根川水系の浄水場から、水質基準値を超える量のホルムアルデヒドが検出されましたが、川の水からは検出されなかったため、何らかの物質が浄水場で塩素消毒と反応し、ホルムアルデヒドが生成されたと推測されました。

結局、産業廃棄物の廃液が原因だと特定されましたが、生活を支える水道水の水質汚染は人々にショックを与えました。ヘキサメチレンテトラミンは産業廃棄物として大量に出る物質であることから、水道水が汚染される危険性を目の当たりにした事件でもありました。

ホルムアルデヒドが水道水に?

水道水に含まれてしまう原因

利根川水系の水道水にホルムアルデヒドが含まれてしまった原因は、ホルムアルデヒドそのものが川へ流入したのではなく、塩素消毒液と反応してホルムアルデヒドを生成するヘキサメチレンテトラミンが原因だといわれています。

ヘキサメチレンテトラミンを含んだ廃液が川に流入して浄水場に至った時に、浄水場で塩素消毒に使われている次亜塩素酸によって水が酸性になり、その触媒作用でホルムアルデヒドが生成すると考えられています。

人体にどれほどの影響をもたらすのか?

ホルムアルデヒドの体に対するリスクには、呼吸障害、消化器障害、皮膚・目・鼻・のどの炎症、めまい、嘔吐、頭痛、痙攣など中枢系障害などがあるといわれています。また、引き起こす可能性のある病気には、咽頭がん、白血病、リンパ腫などが挙げられるため、基準値は発がん性を考えて設定されています。

WHO(世界保健機構)によると、長期にわたり吸引した場合は発がん性がありますが、水などに溶けたホルムアルデヒドを摂取し続けた場合に発がん性が生じるかどうかは、はっきり分かっていないようです。

水道基準項目と基準値とは?

水道水の水質は、「水道法」及びこれに基づく「水質基準に関する省令」によって、51の水道基準項目と、それぞれの基準値が定められおり、すべての項目で基準値に適合していなければなりません。

ホルムアルデヒドなど31項目の毒性のある化学物質に関しては、人が一生飲み続けても病気やがんにならないという観点で、亜鉛など残りの20項目に関しては、水道水の見た目や味を悪くしないという観点で、基準値が設定されているようです。ホルムアルデヒドの場合は0.08mg/L以下でなければなりません。

さらに、水に雑菌がわいたり腐ったりしないよう、残留塩素が一定量保たれることも規定されています。

ヘキサメチレンテトラミンとは?

2012年5月、利根川水系の浄水場で基準値を超えたホルムアルデヒドが検出された問題で、厚生労働省は、ヘキサメチレンテトラミンという化学物質が、浄水場の塩素消毒によって酸性になった水と反応し、副産物としてホルムアルデヒドが生成されたいう推測を発表しました。

ヘキサメチレンテトラミンは、酸などが含まれる水中ではホルムアルデヒドとアンモニアに分解されるといわれており、単体では無色の光沢がある結晶で、膀胱炎や尿路感染症の治療薬や、樹脂、ゴムの硬化剤、海外では食品添加物として(日本では認可されていません)使われている物質です。

利根川の水質汚染問題が起こった当時はヘキサメチレンテトラミンの法規制はありませんでしたが、この問題によって平成24年10月、水質汚濁防止法の「指定物質」に加えられました。

水質汚濁防止法には「有害物質」(人の健康に被害を与える恐れがある28種類)と「指定物質」(人の健康や環境に被害を与える恐れがある55種類)があります。

利根川の水質汚染問題

どのような問題か?

2012年5月、利根川水系の浄水場で水質基準値0.08mg/lを超えた量のホルムアルデヒドが検出され、1都4県8浄水場(茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都)の広範囲にかけて、取水停止や減量などの給水制限が行われ、千葉県の5市(約36万世帯、約87万人)では断水に至りました。

東日本大震災の影響もあり、当初はセシウム隠ぺい説なども囁かれましたが、ヘキサメチレンテトラミンを含む工業廃液が十分に処理されずに川に流入したことが原因と特定されました。

原因

原因究明をしたところ、川の原水にはホルムアルデヒドが含まれていなかったことと、ヘキサメチレンテトラミンと塩素処理された水道原水からホルムアルデヒドが生成されるということから、ホルムアルデヒドそのものが川に流入したのではなく、浄水場での化学反応によって生成されたものだと分かりました。

DOWAハイテック株式会社という金属メッキ企業が、廃棄物処理業者にヘキサメチレンテトラミンを高濃度に含んでいることを伝えず廃液の処理を委託したため、その廃液が十分処理されず利根川に合流する排水路に流入したことが原因だといわれています。

ヘキサメチレンテトラミンが浄水場に至ると、塩素消毒に使われている次亜塩素酸によって水が酸性になり、酸性になった水と反応してホルムアルデヒドが生成されたと考えられています。

また、国立保健医療科学院によると、原因物質がヘキサメチレンテトラミンだとすると、水道原水のホルムアルデヒド生成能や利根川大堰地点の流量などから、利根川に流入したヘキサメチレンテトラミンの量は約0.6~4トンと推計されました。

水濁法による事故時への対応

水濁法(水質汚濁防止法)では、水質事故が起こることを想定したうえで、「有害物質」(人の健康に被害を与える恐れがある28種類)と「指定物質」(人の健康や環境に被害を与える恐れがある55種類)が規定されています。

これらの物質が川などに流入した場合は、応急措置や事故の状況を都道府県知事に届け出ることなどが義務づけられています。従来は「有害物質」(カドミウムなど)と油が義務付けの対象でしたが、2011年4月からは「指定物質」も対象となりました。

利根川の水質汚染問題が起こった当時はヘキサメチレンテトラミンの法規制はありませんでしたが、この問題によって2012年、水質汚濁防止法の「指定物質」に加えられ、事故時の措置の対象になりました。

住民への対応

県や市、被害を受けた水道事業者は、DOWAハイテック約2億9000万円の損害賠償請求をしましたが、拒否されたため、地方裁判所に提訴しました。内訳は、応急給水費用、濁水対応費用、人件費、浄化用の 粉末活性炭追加使用量分、給水料金減収分、委託費、動力費用、水質検査費用とそれに伴う消耗品費などです。

住民には断水や給水制限などの被害があったものの、健康被害などは明らかにならず、損害賠償はありませんでした。

残された課題

・水質監視の強化
利根川の水質問題が起こるまで、ヘキサメチレンテトラミンなどの前駆物質の危険性は十分に認識されておらず、水濁法でも規定されていませんでした。

事件を受けて水質監視が強化されましたが、このような前駆物質は他にもあると考えられ、化学物質の知識や情報の収集をいかにしていくかが課題として残されました。水質監視と住民のモニタリング、情報の収集を並行して強化していく必要があります。

・水道事業者等における対応
ヘキサメチレンテトラミンは、水濁法の「指定物質」に加えられましたが、事故時の措置が必要になるのは「被害を生ずるおそれがあるとき」とされており、はっきりとした数値などで示されているわけではなく、水道事業者の判断に掛かっているともいえるため、事業者が水質事故の発生を早い段階で察知し、速やかに措置できるのかという課題が残りました。

・厚生労働省の対応
利根川の水質事故では、廃棄物処理業者はヘキサメチレンテトラミンが廃液に含まれていることを知らずに処理が不十分になったことから、廃棄物処理の制度そのもののを見直し、企業間の情報伝達が確実にする仕組みづくりも課題として残りました。

身近な対策方法

除去スプレー

スプレーするだけでホルムアルデヒドを減らす効果があるとされる商品はいくつか販売されていますが、おすすめは特許を取っている「mkeco」です。特徴は、天然成分100パーセントなので、化学物質過敏の方でも使いやすいという点です。

ホルムアルデヒドの濃度にもよりますし、完全に除去できる可能性は低いと思いますが、かなり効果があったという声も聞かれます。除去スプレーの効果は、一部の商品で報告されてはいますが、長期使用の効果などは十分解明されていないそうです。

値段は2050~2570円(300ml)です。注意点は、全く効果がなかったという人や、ホルムアルデヒド臭がそのときは消えても翌日には戻ってしまったという人もいること、また、ヒノキの成分でできているため、ヒノキアレルギーの方は使えないという点です。

除去シート

ホルムアルデヒドを吸着する効果があるとさえれる「除去シート」も販売されています。特徴はパルプなどの繊維構造にホルムアルデヒドを吸着するもので、吸着後の熱によるホルムアルデヒドの分離が比較的少ないため、吸着力に優れているようです。

ただし、除去シートや除去カーペット、除去スプレーなどで実験したところ、一部の商品には効果が確認されたものの、カーペットではほとんど効果が確認されなかったようなので、注意点として使ってみなければ効果が分からないということが挙げられます。

サンプルを送ってくれる販売者もあるので、試してみてから購入することをおすすめします。また、シートは敷いた場所のホルムアルデヒドしか軽減効果があまり期待できないため、室内空気や広範囲の使用には向いていないようです。

おすすめの商品は「ホルムパックン」というものです。特徴は、古紙パルプに、特許を取ったホルムアルデヒド捕集剤を染み込ませ、気になるところに敷いたり貼ったりするだけで効果が期待できるというものです。値段はA4サイズで3,780円(送料別)、910mm×2mで9,720円(送料込み)です。

除去空気清浄機

換気ほどではありませんが、空気清浄機も機種によっては、ある程度ホルムアルデヒドを低減する効果があるといわれているので、外の大気が汚染されている場合や、寒いために窓を開けたままにできない場合には良い選択肢といえます。

花粉やホコリなどを除去する従来の空気清浄機とは違い、最近ではホルムアルデヒドなどのガスを軽減する空気清浄機もありますが、種類や特徴によっていくつかのタイプに分かれ、効果にも差があるようです。

・添着活性炭フィルターでホルムアルデヒドを吸着

・プラズマ放電によるホルムアルデヒドの酸化分解

・二酸化チタン光触媒による酸化分解

・脱臭フィルターでホルムアルデヒドを吸着、ろ過

・改質活性炭カートリッジでホルムアルデヒドを吸着

研究によると、いずれの空気清浄機でも効果はあるようですが、脱臭フィルターによるものは、いったんはホルムアルデヒドが減るものの、フィルターに吸着したものが放出されてしまうため、再びホルムアルデヒドが増えてしまうようです。

二酸化チタンに光が当たると活性酸素が生成され、化学物質を分解するという効果があるとされ、ホルムアルデヒド以外の有害物質を減らす効果も期待できるそうです。

また、オゾン式空気清浄機といって、オゾンの酸化作用で化学物質を分解するものもありますが、オゾンは人間の呼吸器官に強い刺激を与えるため、健康被害なしにオゾンが化学物質を分解できるかどうか、十分な効果は証明されていないようです。

購入する際に注意する点は、
・脱臭機能は高いか(パーセンテージ明記してあるもの)
・集塵機能(どのような化学物質を除去できるか明記してあるもの)
・交換フィルターの寿命、値段
・電気代
・運転音はうるさくないか

フィルターが効果を左右するともいわれますが、交換フィルターが高額なこともあるので、寿命と価格を確認しておきましょう。空気清浄機は1日中稼働させることが多いので、1日当たりの電気代や、運転音の大きさなども確認してください。

ホルムアルデヒドの低減効果があると表示している商品から選ぶのが良いそうで、おすすめは高速ストリーマを備えたダイキンの空気清浄機です。

実験では、6畳の部屋で温度20~26度、湿度30~70パーセント、換気0回の環境で、濃度0.2ppmのホルムアルデヒドを常時発生させたところ、基準値0.08ppmが保たれたそうです。小売価格(定価はもう少し高い)は3~15万円のものが多く、機能や使用する部屋の大きさによって変わってきます。

その他にも、ホルムアルデヒドの軽減効果を表示している製品は、日立や三菱から販売されています。フィルターの寿命や価格、電気代、稼働音などを吟味して選ぶようにしてください。

備長炭や活性炭

炭が空気中のホルムアルデヒドを少なくするのは、炭の多孔質形状(小さな穴がたくさん開いている構造)を利用し、化学物質をその穴に吸い込むという仕組みだそうです。実験でも、炭によるホルムアルデヒドの吸着力が実証されているそうで、吸着された後も熱による分離が少ないといわれています。

備長炭は高温で処理されるためアルカリ性であるため、酸性であるホルムアルデヒドを吸着するとされています。ただ、備長炭は目が詰まっているため、活性炭や竹炭(ただし、高温で熱処理されたもの)が良いそうです。なお、最も吸着する穴が多いのは杉の炭といわれています。

値段は業者や量によって違いますが、例えば近江通商という会社では500円(2.5kg)、3000円(15kg)で竹炭が販売されています。川上村森林組合では、367円(40g)、6300円(12kg)で杉炭「出来杉炭っ!!」が販売されています。

「出来杉炭っ!!」は、実験で55ppmのホルムアルデヒドが2.8ppmに下がったというデータもあるのでおすすめです。

注意点は、ホルムアルデヒドは簡単に水に溶けてしまうので、一度吸着しても湿気がこもると出てしまうことがある点です。備長炭や竹炭、杉炭は定期的に干し、こまめに換気することが大切です。

浄水器

活性炭フィルターで浄水すれば、ホルムアルデヒドの濃度を減らす効果があるといわれており、利根川の浄水にも活性炭が用いられました。

日本浄水器はサイズが小さいので、その分フィルターも小さくなってしまうため、ろ過効果も小さくなってしまうようです。「活性炭フィルターを搭載した大きい浄水器」が効果的と思われますが、値段はかなり高くなってしまいます。

逆浸透膜浄水器でもホルムアルデヒドを約35パーセント除去する効果があるといわれています。しかし、逆浸透膜浄水器は浄水するのに時間がかかるため、一度にできる量が少なく実用的ではないという難点があります。ネオスという会社が販売する商品の場合、27000円程から販売されています。

浄水効果に定評があるのが、日本ガイシが販売しているC1という商品です。値段は39800円(2.5リットル)、50000円(3.5リットル)です。活性炭フィルターではないのですが、同じく多孔質形状をしたセラミックをフィルターに使っており、浄水効果は高いといわれていますが、値段が高いというデメリットがあります。

ピュリフリーグリーンという浄水器はのフィルターは、キッツマイクロフィルターという専門メーカーの商品です。特徴は、蛇口に付けるタイプで、カートリッジの交換がない使い捨てタイプだということです。衛生的ですし、8545円(約2年)なのでコストパフォーマンスも良く、おすすめです。

注意点は、ホルムアルデヒドは粒子が小さくフィルターをすり抜けやすいため、ホルムアルデヒドの除去率がきちんと明記してあるものを選ぶことです。また、交換カートリッジが高いものもあるので、価格を確認してから検討しましょう。

壁紙

「ホルムアルデヒドの規制」のところでも解説しますが、建材や壁紙には、ホルムアルデヒドの発散量の基準になる等級区分の表示が義務付けられています。JISや国土交通大臣によって認定を受け、等級が定められます。

F☆☆☆☆…放出量が少ないので、内装仕上げの使用面積が制限されない
F☆☆☆…使用面積が制限される
F☆☆…面積が制限され、天井裏には使用できない
F☆、表示なし…使用できない

また、日本壁紙装協会が認証する「ISM壁紙」は、ホルムアルデヒドを含め化学物質の発散を最小限にしたものといわれ、安全性の目安になります。

化学物質の規制の中では、ドイツのRAL基準も普及しています。健康、環境ともに配慮したもので、一般的なヨーロッパ標準規格よりも安全性が高いといわれているため、「RALマーク」も目安になるといえます。

また、自然素材などを使ったものには「エコマーク」や、非木材グリーン協会が認証する「非木材グリーンマーク」がついているものもあります。このマークは、森林伐採を節減するため、二酸化炭素を吸収する木材以外の素材(ケナフやタケなど)が使用されたものについています。

一般的な塩化ビニル壁紙は、接着剤や可塑剤(壁紙を柔らかくする薬)にホルムアルデヒドが含まれていることが多いといわれてるため、おすすめは、布クロス・紙クロス・天然木など、自然素材の選択です。

布クロスにはホルムアルデヒドが含まれていませんが、通気性があるため結露しにくい、汚れが落ちにくい、値段が高めであるなどの注意点があります。

紙クロスにも化学物質は含まれていませんが、結露しにくいことに加え、通常の壁紙より薄いため下地をしっかりさせなければならず費用がかさむことがある、薄いために張替が大変である、などの注意点があります。

木材をそのまま壁にする場合は、ホルムアルデヒドを含んだ合板などは避けるようにしましょう。注意点は壁紙に比べて費用がかかることです。

どの素材の壁紙を使うとしても、接着剤には注意が必要です。必ず成分を見て、ホルムアルデヒドなどの有害物質が含まれていないことを確認してください。

また、「タナクリーム」という、壁に塗る石灰クリームが田中石灰工業から、10800円(1缶20kg)で販売されています。石灰も炭と同じく、多孔質形状であることから、空気中の化学物質を吸着する効果があるようです。

東リが販売する「竹炭ケナフウォール」は、多孔質形状による吸着力をもつ竹炭とセラミックからできているうえ、様々な規格に合格しているのでおすすめです。

改正建築基準法に基づくシックハウス対策品と自主管理制度

病理検査室、解剖室、病院など

「特定化学物質障害予防規則」の改正によって、病院などの医療機関、解剖室、病理検査室などでは、排気装置の設置が義務付けられ、ホルムアルデヒド濃度を0.1ppmに維持することが規定されました。

空気触媒や天然素材の分解剤を組み合わせ機器や、酵素クラスター除菌脱臭装置、局所排気装置など、除去効果を上げて管理濃度を維持するための排気システムが様々な会社から提案されています。

ホルムアルデヒドの規制

改正建築基準法

2003年7月に施行された改正建築基準法のシックハウス対策概要は、大きく分けると2つの項目「ホルムアルデヒドに関する建材、換気設備の規制」と「クロルピリホスの使用禁止」から成っています。

さらにホルムアルデヒドの項目は3つの対策から成っています。
1、内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建材の面積制限
2、すべての建築物における換気設備の設置義務
3、天井裏などから居室へのホルムアルデヒド流入防止

内装仕上げには、居室の種類や換気回数、建材の等級区分ごとにホルムアルデヒドを発散させる建材の面積制限が規定されました。

建材の等級区分
・F☆☆☆☆…面積制限なし
・F☆☆☆…使用面積が制限される
・F☆☆…使用面積が制限される。また、天井裏に用いることはできない
※JIS(日本工業規格)の認証、JAS(日本農林規格)または国土交通大臣の認定により、建材の等級区分を明らかにしなければなりません。

ランク外、または等級のない建材は使用できません。ただし、規制の対象となるのは、国土交通省の告示で指定された建材のみ(合板、フローリング、壁紙、接着剤など)で、これらを使用した家具やキッチンキャビネットも対象となります。

告示で指定されていないものは、ホルムアルデヒドの発散がほとんど認められないとされ、規制の対象外になります。

また、建築基準法によるシックハウス対策の規制は、2003年7月1日以降に着工された建物が対象であり、2003年6月以前に工事が始まった建物は対象外です。

労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令

2007年に出された「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令」の概要は、製造・輸入・使用などが禁じられている石綿含有製品のうち、セメント板や住宅用建材、段節材用接着剤、摩擦材などを追加するというものでした。

この法改正により、労働安全英施行令で第3類物質に分類されていたホルムアルデヒドは、管理レベルを上げた第2類物質になったため、医薬現場で行われるホルムアルデヒドを用いた燻蒸殺菌、解剖標本の作製などに関して、混乱や法解釈の食い違いなどが起きました。

特定化学物質障害予防規制

ホルムアルデヒドの分類が変わったことによる混乱を受け、「特定化学物質障害予防規則」のうち、「燻蒸作業に係る措置」の適用対象にホルムアルデヒドが加えられました。

概要は、ホルムアルデヒドによる施設・設備での燻蒸は、作業中のガス漏えいの有無の確認、漏えいした場合の目張りなどの補修、燻蒸作業中の立ち入り禁止とその旨の表示などの義務付けです。

また、燻蒸後の入室は、空気中の濃度が0.1ppm以下であるか確認することとされ、排気などのために0.1ppm異常で入室する際は、防毒マスクなどを用いることとされています。

毒物および劇物取締法

「毒物及び劇物取締法」の概要は、「毒物」「劇物」を対象とする、製造・輸入・販売・取り扱いなどに関する規制で、違反への措置も定められています。「毒物」は急性毒性があり大人の致死量が2g以下のもの、「劇物」は致死量が2~20g、または刺激が著しく強いものとされています。

ホルムアルデヒドの水溶液、またはホルムアルデヒドを含む液体製剤(ホルマリンなど)は、この法律によって「医薬用外劇物」に指定されています。

ホルムアルデヒドの排出規制

シックハウス症候群や化学物質過敏症など、毒性のある有機化学物質大気中に放出すると公害や健康被害などを引き起こすことが問題となり、ホルムアルデヒドやトルエン、フロンなどを含むVOC(揮発性有機化学物質)の排出規制措置が、「改正大気汚染防止法」によって主要な排出施設を対象として行われることになりました。

概要は、VOC排出の届出を義務化し、排出量の基準を定めることで、VOCの排出を規制しようとするものです。また、VOC濃度の測定法を環境省が指定し、定期的に測定することを規定しました。

また、ホルムアルデヒドは、HAPS(有害大気汚染物質)234種のうち、特に危険性が高い23種(優先取組物質)にも指定されています。

アメリカで行われている規制

アメリカでは、2010年に米国議会で「複合木材製品ホルムアルデヒド基準法」が採択され、2013年に環境保護庁から実施規則が出されました。

米国内で製造、輸入されるベニヤなどの合板木材製品に含まれるホルムアルデヒドを対象とするもので、放散上限値やラベルの規定、安全性の認証・認定の枠組みなどに関する規則です。

カリフォルニア州ではそれより早い2009年に、州の大気資源局(州知事が任命する11人から成る)によって、「複合木材製品ホルムアルデヒド規制」が独自に出され、放散基準や値第三者機関による安全性の認定制度が定められているため、同州へはこの規格に合格した製品・材料でなければ輸出できません。

アメリカも大気汚染物質に対する取り組みを強化していますが、化粧品には注意が必要です。多くの化粧品には防腐剤が使われており、日本ではパラベンやフェノキシエタノールなどの成分が一般的でが、欧米や中国などではホルムアルデヒド遊離型防腐剤(ダイソーマニキュアにも含有)も広く使われるといわれています。

アメリカでは化粧品に含まれるホルムアルデヒドへの規制がないので、例えばホルムアルデヒドを含むヘアケア剤によって美容師が症状を訴えた場合でも、その商品が販売され続けるという問題もあるようです。

欧州で行われている規制

ヨーロッパでは1970年代から、ドイツや北欧で、家具や建材のホルムアルデヒドによる室内空気汚染が問題となっており、濃度の基準値に関するガイドラインが定められました。

その後、EUの共同研究によって、化学物質の実態調査・測定方法、人体への影響、リスク評価など、これまで23の調査報告がなされてきました。EUが発表した室内空気汚染における「最優先評価物質」には、ベンゼン、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、一酸化炭素、二酸化窒素の5種が挙げられています。

有害性(ホルムアルデヒドにさらさることで発がん性が生じる濃度)は、0.1mg/立方メートルとなっており、無毒性量は0.09mgとなっています。

まとめ

常に身近に潜むホルムアルデヒドですが、軽減する工夫を自分ですることもできます。

プラスチックを使用した電気機器や合板を用いた家具などは、どこのご家庭にもあるかと思います。何よりもまず、換気を心がけましょう。換気はどんな除去グッズよりも効果的という意見もあります。

そして、塗料や接着剤、家具、衣類、化粧品など、生活用品を購入する際は成分表の確認を習慣にしましょう。衣類から異臭からするときは一度洗濯してから着用するようにしましょう。

シックハウス症候群や化学物質過敏症の症状が現れた場合は、症状が出た部位の専門医を受診するようにしてください。

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