赤血球について知ろう!赤血球沈降速度ってどんな検査?数が少ないときは要注意?寿命などの10個の基礎知識を徹底解説!
赤血球について
赤血球は、血液の主成分です。酸素を運搬し、二酸化炭素を回収するという大切な役割を担っています。
健康状態に大きくかかわるものですから、健康診断で血液検査を行った場合、赤血球の数値は必ず調べる項目となります。基準値よりも数値が高かった場合、あるいは低かった場合において、考えられる原因や起こり得る問題、それぞれの対処法などについて見ていきましょう。
赤血球の基礎知識
赤血球とは
赤血球とは血液の構成成分である血球のひとつで、血球の中で最も多くの数が存在します。私たちが生きていくためには酸素が必要ですが、赤血球は肺に取り込まれた酸素を全身へ運ぶというとても重要な働きを担っています。
赤血球の中には、「ヘモグロビン」と呼ばれる成分があります。これは「ヘム」という鉄を含んだ色素と、「グロビン」というタンパク質から成り、赤血球の大部分を占めているものです。鉄は酸素とくっつきやすい性質があるため、その鉄分を含むヘモグロビンと結合することによって、酸素は全身に運搬されています。
鉄分が酸化して酸化鉄になると、赤色を呈します。血液の色が赤いのは、ヘモグロビンに含まれる鉄分が酸化した色ということです。そのため、血中に含まれる酸素の量が多い動脈血のほうが、静脈血よりも鮮やかな赤色をしています。
赤血球の大きさと形
赤血球の大きさは7~8μm(マイクロメートル。1mmは1000μm)です。赤血球は、真ん中が少しだけくぼんだ円盤状をしています。哺乳類の赤血球は、核やミトコンドリアを持たない無核細胞です。
毛細血管の直径は5μmですから、赤血球はそのままでは通れません。そこで赤血球は、狭い毛細血管の中を通過できるように変形します。赤血球が円盤状の形をしているのは、変形しやすくするためです。
赤血球の機能と構成
赤血球の構造は、表面の赤血球細胞膜と内部の細胞質に分けられます。酸素と二酸化炭素は赤血球細胞膜を通して交換が行われ、細胞質に含まれるヘモグロビンと酵素の働きで輸送されます。
赤血球の細胞質は、ヘモグロビンと水で容積の大半を占めます。その他は、酵素、炭酸脱水酵素、グルコース、炭酸、イオン(Na+、Ca2+、K+、Cl−)などです。
赤血球の構成物質は他の細胞と同様に、水やタンパク質、脂質などから構成されています。赤血球を生成する上で重要な役目を担う栄養素には、鉄やビタミンB12、葉酸などがあります。これらは体内で合成することができないため、外から摂取する必要があります。
赤血球の寿命
赤血球の寿命は約120日とされています。骨髄の造血幹細胞からつくられ、その数は1日あたり2000億個程度とされています。貧血などで低酸素状態になると、赤血球の産出量はさらに増加します。
120日程度働いた赤血球は老化し、老化した赤血球は脾臓でマクロファージに捕捉され、貪食された末に分解されます。分解された赤血球の構成成分であるアミノ酸や鉄は回収されて再利用されますが、分解されたヘムはビリルビンとなり、ビリルビンは胆汁や尿として体外に排出されます。尿や便が黄色い色をしているのは、分解されたヘムの分解代謝物であるビリルビンの色なのです。
赤血球の基準値
赤血球の検査基準値は、各病院によっても多少の差はありますが、男性では420~570万個/μl、女性では380~500万個/μlです。
赤血球と血液型
血液は赤血球に含まれる抗原の種類によって、ABO血液型に分けられます。A型の赤血球にはA抗原、B型にはB抗原、AB型にはAとB両方の抗原があり、O型にはどちらの抗原もありません。
一方、血清の中には赤血球と反応する抗体があり、A型にはB抗体、B型にはA抗体、O型にはAおよびB抗体、AB型にはどちらの抗体もありません。
抗体をもつ血液型の血清に、対象となる抗原をもつ赤血球を混合させると、凝集してしまいます。そのためABO血液型が発見されるより以前は、血液型不適合による輸血事故が多発していました。
赤血球と脾臓の関係
脾臓の主な働きは、老化した赤血球を破壊して除去するというものです。健康な赤血球は脾臓内にある網目の構造をすり抜けますが、老化や異常をきたした赤血球は網目に引っかかり、破壊されます。
赤血球に影響の出る主な疾患
赤血球の数値が基準値よりも低い場合は貧血、高い場合は多血症(赤血球増多症)となります。それぞれ原因となる疾患が存在し、その結果赤血球の数が異常値を示します。詳しくは後述の「赤血球が多い時に知っておきたいこと」「赤血球が少ない時に知っておきたいこと」をご覧ください。
赤血球の発見と研究の歴史
1658年にオランダのスワンメルダムが、レンズ1枚の単式顕微鏡でカエルの赤血球を初めて観察しました。1660年にマルピーギが、毛細血管の中の血球の循環を観察しました。1674年、レーヴェンフックは単式顕微鏡では最高性能となる顕微鏡を自作し、ヒトの赤血球の大きさは8.5μmで、円盤状をしていると報告しました。また、円盤状をしているのは哺乳類の赤血球のみで、哺乳類以外の動物の赤血球は卵型であることも発見しました。
さらに1747年、メンギニは赤血球に鉄を含むことを磁石を用いた実験で発見しました。1774年、プリーストリーは赤血球が酸素に反応することを発見し、1780年にラヴォアジエとラプラスが赤血球は酸素を運搬する働きを担うことを発見しました。
1900年、ラントシュタイナーによってABO血液型が発見されましたが、当初はA、B、Cの3型に分類していました。1901年の発表論文では A、B、Oの3分類とし、1902年に現在の A、B、O、AB型に訂正したとされています。
人工赤血球
輸血が不足する事態に備え、緊急用に人工赤血球の開発が進められています。
赤血球の主要な構成成分であるヘモグロビンには毒性があり、溶血によって赤血球の外に出てしまった場合にはさまざまな副作用を生じることが知られています。そのため以前よりヘモグロビンの毒性を除去する研究が進められてきましたが、現在まで主要国で実用化に至るものは開発されていません。
現在は、ヘモグロビンを内包した小胞体の開発が行われています。赤血球の数十分の1の大きさのリポソームの中にヘモグロビンを封入したヘモグロビン小胞体というものが、動物実験において効果を認められるところまで開発が進んでいるようです。
赤血球の検査について
測定する項目
赤血球に関する検査項目は、赤血球数、ヘモグロビン値、ヘマトクリット値の3つがあります。これら3つの検査結果を総合的に診ることで、赤血球の状態が判断されます。
赤血球数は、血液中に存在する赤血球の数です。ヘモグロビンは全血液中のヘモグロビンの量を測ります。ヘマトクリットは全血液中の赤血球の容積率を示します。
いずれも重要な項目には違いありませんが、貧血の診断指標として最も重要なのがヘモグロビンの値です。例え赤血球数が正常範囲値内であっても、ヘモグロビンが少ない場合は酸素が全身に十分に運搬されないため、貧血症状を生じることがあります。
検査結果の判定
赤血球に関する検査項目が基準値よりも低い場合は貧血、高い場合は多血症(赤血球増多症)が考えられます。それぞれ原因となる疾患がありますので、さらなる検査で原因の診断をすることになります。貧血があった場合、さらに詳しく赤血球恒数(赤血球指数)を調べることで原因の特定に繋がります。
健康診断などで検査した場合、「異常なし」「要経過観察」「要精密検査」「要医療」などの結果が出ますので、再検査や医師の診察が必要との結果が出た場合にはなるべく早く医療機関を受診してください。要経過観察だった場合は慌てて受診する必要はないとの判断ですが、心配であれば受診しましょう。また受診しない場合も、必ず定期的に健康診断を受けて検査結果が悪くなっていないかをチェックするようにしましょう。
赤血球恒数(赤血球指数)とは何か
赤血球恒数(赤血球指数)とは、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球色素量(MCH)、平均赤血球色素濃度(MCHC)の3つの項目をいいます。貧血がある場合、これらの検査によって貧血の種類を判断することができます。貧血がなければ、これらの項目が多少異常値を示していても大きな問題はありません。
平均赤血球容積(MCV)とは、赤血球の平均的な容積です。基準値は80~99flで、鉄欠乏性貧血では基準値より小さくなる傾向にあります。逆に大きくなるケースでは、溶血性貧血、巨赤芽球性貧血などが疑われます。
平均赤血球色素量(MCH)とは、赤血球1個あたりの平均ヘモグロビン量を示します。基準値は25.0~34.0pgです。
平均赤血球色素濃度(MCHC)とは、赤血球中の平均ヘモグロビン濃度です。基準値は31.0~36.9%です。
平均赤血球色素量(MCH)および平均赤血球色素濃度(MCHC)は、基準値より低い場合には鉄欠乏性貧血や慢性的な出血による貧血などが疑われ、逆に高い場合には溶血性貧血や巨赤芽球性貧血などが疑われます。再生不良性貧血では、いずれの検査値も基準値の範囲内を示すことが多いようです。
検査時の注意点
採血の値というものは病態以外にも、食事や運動、生活リズムなどさまざまな因子によって影響を受けます。そのため採血する環境で理想的なのは早朝、空腹、安静時ですが、実際は難しいかもしれません。それらの因子だけで極めて異常値が出たりするわけではありませんので、必要以上に神経質にならなくても大丈夫です。基準値から1割以上数値が上下している場合は何らかの異常がある可能性がありますので、さらなる検査を受けたほうがよいでしょう。
可能なら、検査前の1時間は食事を控えるようにしましょう。脂質や糖分は避け、軽めの食事にしておくのが望ましいです。また、検査前に運動はしないようにしましょう。検査前1時間はなるべく安静に過ごすようにしてください。幾度か検査を受ける場合は同じ条件下で受けるのが望ましいといえるので、できる範囲で気をつけるようにしましょう。
ただし血糖や中性脂肪など、検査前は食事を抜かなければならないような検査では注意が必要です。そうした検査を受ける場合は事前に説明があると思いますので、条件を守って検査を受けるようにしましょう。
食事を抜いて実施しなければならない検査であったにも関わらず、うっかり忘れていて食事をとってしまったという場合には、必ずその旨を正直に伝えるようにしてください。食事を摂取した時間がわかっていれば検査が可能なこともありますし、見送られることもあります。正確な検査結果を得るためですので、くれぐれも注意しましょう。
赤血球沈降速度(赤沈)とは何か
赤血球沈降速度(赤沈)とは、赤血球が沈んでいく速さを見る検査です。血沈ともいいます。基準値は男性で10mm/h以内、女性で15mm/h以内です。
赤沈の速度が速くなるケースでは、赤血球が減っている、血漿成分のアルブミンが減っている、ガンマグロブリンやフィブリノゲンといった凝固因子のタンパクが増えているなどが考えられます。結核などの感染症や、リウマチ・膠原病などの慢性炎症性疾患、貧血、白血病、悪性腫瘍、肝疾患などがあてはまります。
赤沈の最低値は特に定められていませんが、赤沈速度が極端に遅い場合(1時間に1~2mmなど)は多血症やフィブリノゲンなどの血液凝固因子に異常があると考えられます。
赤血球が多い時に知っておきたいこと
赤血球が多い時の症状
赤血球が多い場合、多血症(赤血球増多症)と診断名がつきます。赤血球が多少多い程度では無症状のことがほとんどで、健康診断でたまたま見つかるケースが少なくありません。症状が進行すると、頭痛、のぼせ感、集中力の低下、赤ら顔などの症状がみられることがあります。赤血球が極めて多くなると血栓ができやすくなるため、脳梗塞や心筋梗塞を発症するリスクが高まります。
赤血球が増える原因
赤血球が増える原因には、真性多血症や続発性赤血球増加症などによる絶対的多血症と、検査上の数値が高くなるだけの場合とがあります。絶対的多血症の場合は、医学的治療が必要となります。検査上の数値が高くなるだけの多血症の場合は特に速やかな治療が必要となるわけではありませんが、血栓ができやすい状態にあるため注意が必要です。
赤血球の検査数値は、さまざまな要因で上がります。汗を多くかいた場合、暑い中で運動をしたあとなど、脱水状態にある場合では血液が濃縮されることによって検査値は上昇します。また太り気味で高血圧、高コレステロール血症、高尿酸血症などがある方はストレスなどによって多血を生じやすく、血液の粘稠度が高くなりやすいため注意が必要です。
治療が必要となる多血症
真性多血症による絶対的多血症では治療が必要となります。続発性赤血球増加症では、原因となっている因子によっては治療が必要となる場合があります。
■真性多血症
真性多血症とは、赤血球が増殖する疾患です。赤血球造血が異常をきたすことで生じるものですが、原因は不明とされています。赤血球系・白血球系・血小板系の3系統で増殖がみられるものを慢性骨髄増殖症候群といいますが、真性多血症ではそれらの中でも赤血球系の増殖が顕著となります。中高年の男性に好発します。
中枢神経系の循環障害によって頭痛、めまい、顔のほてり、のぼせ、耳鳴りなどの症状が生じることがあります。高血圧、皮膚のかゆみ、赤ら顔、粘膜の充血などの症状もみられます。赤血球の増加に伴い血液の粘稠度が増し、脳梗塞や心筋梗塞をきたすリスクが高まります。皮下出血、消化管出血、脳出血などが起こることもあります。
血液を抜く処置である瀉血を行いつつ、骨髄抑制剤による化学療法を行なって赤血球の数をコントロールする治療が必要となります。
■続発性赤血球増加症
二次性赤血球増加症ともいい、別の因子から続発する赤血球増多症です。肺疾患・心内シャント・高山病などの慢性動脈血低酸素血症、腎腫瘍・肝がんなどによる腫瘍関連赤血球増加症などが挙げられます。また喫煙や睡眠時無呼吸症候群といった因子から低酸素症をきたし、赤血球が増加することもあります。
赤血球数を減らす食事
肥満は赤血球を増加させる要因のひとつです。太っていると呼吸運動が抑制される傾向にあり、肥満性の低換気症候群をきたすことによって、二次性の赤血球増加症になるリスクが高まります。睡眠時無呼吸症候群は肥満によって生じる呼吸抑制の代表例です。
赤血球を減らすという食事はありませんので、これらの理由で赤血球が増えている人はまず肥満を改善する必要があります。脂質や糖分の摂取は控え、和食を中心としたバランスのとれた食事を心がけるようにしましょう。
赤血球数を減らす運動
これもやはり赤血球を減らす運動というものはありませんが、適度な運動を心がけることで体重を減らし、肥満による二次性赤血球増加症を改善することができます。運動は生活習慣病の予防・改善にも繋がりますので、是非継続して行うようにしましょう。
続かなければ意味がありませんので、つらく激しい運動をする必要はありません。日常生活の中で身体を積極的に動かす時間をつくり、楽しく運動習慣をつけるようにしましょう。
運動する際注意することは、水分の摂取を十分に行うことです。脱水症をきたすと血液の濃度が高まってしまいます。運動の際以外も、日頃から十分に水分を摂取しておくようにしましょう。
赤血球が少ない時に知っておきたいこと
赤血球が少ない時の症状
赤血球が少ないときの診断名は貧血です。貧血の症状として代表的なものには、疲れやすい、立ち眩み、動悸、息切れ、顔色不良などが挙げられます。
赤血球が少ない原因
女性は貧血になりやすい傾向にあり、日本女性の約6割が貧血ともいわれています。月経、出産などによる出血に伴って失われる鉄が多いことに加え、無理なダイエットによって栄養が偏り鉄分不足になっている人が多いためとされています。ダイエットでは鉄分だけでなく、良質なたんぱく質やビタミンCなども不足してしまうため、貧血を助長する要因となっています。
男性より女性に貧血の人が多い理由は上記以外にも、もともと女性のほうが男性に比べて赤血球の数が少ないことも挙げられます。造血幹細胞が赤血球へ変化するためには「エリスロポエチン」と呼ばれる腎臓でつくられるホルモンが必要となるのですが、この合成を促しているのが男性ホルモンであるため、男性のほうが女性より多く赤血球がつくられるのです。
多量に出血しなくても、少量の出血が継続的に続くことで貧血をきたすことがあります。主な疾患としては、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、大腸がん、直腸がん、痔核などです。女性の場合には、子宮筋腫や子宮内膜症によって貧血が引き起こされることもあります。
出血はなくても、摂取した鉄やビタミンなどの栄養を吸収する胃腸に障害がある場合や、造血機能に障害が起こると貧血となります。
貧血を引き起こす疾患
■鉄欠乏性貧血
鉄分が不足する貧血で、貧血の中で最も多くみられる疾患です。偏った食生活による鉄分不足や、胃腸や子宮などからの持続的な出血によっても生じます。鉄欠乏性貧血は圧倒的に女性に多いのが特徴です。
■巨赤芽球性貧血
血液をつくるために必要なビタミンB12や葉酸が不足することによって生じる貧血です。栄養素を摂取していても、胃から栄養素を吸収できずに生じることがあります。胃の切除手術、進行胃炎などでみられます。また、妊娠やアルコール中毒、末期がんなどでビタミンが大量に消費され、引き起こされることもあります。
■再生不良性貧血
骨髄にある造血幹細胞に異常があって、赤血球・白血球・血小板のいずれも減少してしまう難病です。貧血症状だけでなく、白血球の減少に伴う抵抗力の低下から感染症にかかりやすくなったり、血小板の減少によって出血傾向が強くなったりします。
■慢性腎不全
腎機能の低下により、腎臓でつくられる赤血球をつくり出すためのホルモンが欠乏することによって、貧血が引き起こされます。
■白血病
骨髄で異常な白血球細胞が増殖し、正常な白血球をつくることができなくなる疾患です。異常な白血球細胞の増加に伴い、赤血球や血小板の数も減少します。
■多発性骨髄腫
免疫機能をもつ形質細胞というリンパ球が癌化し、骨髄中に増殖する疾患です。造血機能に障害をきたすため、貧血となります。
赤血球数を増やす食事
貧血の原因の多くは、偏った食生活によるものです。鉄分は勿論のこと、良質なたんぱく質や、鉄分の吸収を助けるビタミンCなど、バランスの良い食事を摂るように心がけましょう。
現在はさまざまな鉄剤やビタミン剤が市販されていますので、食事だけでは十分な量を摂ることが難しいという場合は利用するとよいでしょう。また、調理の際に鉄製のフライパンや鍋を使うことで、鉄分補給の助けとなるといわれています。
■貧血に効果のある食事(鉄分やビタミンなどを豊富に含む食事)
【魚介類】
カツオ、キハダマグロ、アナゴ、イワシ、鮭、カキ、赤貝、あさり
【野菜・果実類】
大豆、菜の花、キャベツ、ほうれん草、ゴーヤ、さつま芋、じゃがいも、ブロッコリー、小松菜、バナナ、柿、みかん、オレンジ、イチゴ、メロン
【肉類】
レバー、豚もも肉、卵
【その他】
ひじき、牛乳
遺伝性球状赤血球症について
遺伝性球状赤血球症とは
遺伝性球状赤血球症とは、通常であれば円盤状をしている赤血球が球状をしている遺伝性(常染色体優性遺伝)の疾患です。赤血球の破壊が亢進することで生じる遺伝性(先天性)溶血性貧血のうち最も頻度が高く、約70%を占めるとされています。
赤血球の膜に遺伝的異常があり赤血球の形態が球状をしていることから、柔軟に変形することができず脾臓の網目を通り抜けられないために、脾臓での赤血球破壊が亢進されます。その結果貧血症状や、赤血球の代謝産物であるビリルビンの増加による黄疸、脾腫などが症状として生じます。
原因
赤血球の膜に遺伝的異常があり赤血球の形態が球状をしていることから、柔軟に変形することができず脾臓の網目を通り抜けられないために、脾臓での赤血球破壊が亢進されます。
症状
脾臓での赤血球破壊の更新により、貧血症状や、赤血球の代謝産物であるビリルビンの増加による黄疸、脾腫などが症状として生じます。小児期に重度の貧血や黄疸が生じて診断される重症例や、成人期になるまで診断されない軽症例など、個人差が大きいとされています。
溶血によってビリルビン産生が長期間にわたって持続するため、ビリルビン結石の胆石症を合併しやすいのが特徴です。
貧血、黄疸、脾腫などの症状は主に慢性の経過をたどることが多いですが、感染などを契機に溶血発作や無形性発作を起こした症例も報告されています。
診断方法
溶血による貧血、横断、脾腫などの臨床症状があり、家族歴に同様な症候を認める人がいる場合には疑いが強まります。遺伝性球状赤血球症が疑われる場合、赤血球をより詳しく調べることで診断がつきます。
赤血球の形状をみると球状をしており、平均赤血球容積(MCV)は正常であるため、赤血球の直径は正常よりも小さくなります。平均赤血球色素濃度(MCHC)は増加する傾向にあります。
治療法
貧血が重症の場合、脾臓を摘出することが唯一の治療法とされています。胆石症を合併しやすいため、脾臓を摘出する際には同時に胆嚢も摘出することが多いようです。
脾臓は血球を破壊する役割のほかに、免疫系の働きを担っています。そのため脾臓を摘出すると、感染を防御するための抗体をつくったり、病原菌を血液から取り除くといった能力が低下してしまい、感染症に対する防御機能が低下してしまいます。特に脾臓には肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌といった特定の種類の細菌に対しての防御能力が備わっているとされています。
乳児期に脾臓を摘出した場合、上記の細菌による重篤な感染症を引き起こすリスクが高まるため、摘出は学齢期以降としたほうがよいとされています。感染症のリスクを考慮し、術前には肺炎球菌やヒブなどのワクチン接種を受け、免疫をつけておくことは大変重要です。
合併症が認められないケースでは、予後は良好とされています。脾臓摘出後の予後も、一般的には良好とされています。
まとめ
赤血球は、肺から取り込まれた酸素を全身へ運び、二酸化炭素を回収するという大変重要な役割を担う血球です。赤血球の中のヘモグロビンという成分によって酸素は運搬されていますが、このヘモグロビンが鉄を含み酸素と結合するため、血液は赤い色をしています。
赤血球に関する検査項目は、赤血球数、ヘモグロビン値、ヘマトクリット値の3つがあります。これら3つの検査結果を総合的に診ることで、赤血球の状態が判断されます。基準値よりも低い場合は貧血、多い場合は多血症となります。貧血の場合、さらに平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球色素量(MCH)、平均赤血球色素濃度(MCHC)などの赤血球恒数(赤血球指数)を調べることによって、貧血の種類・原因を調べることができます。
貧血のうち、鉄欠乏性貧血は女性に多い疾患です。疲れやすい、立ち眩み、動悸、息切れ、顔色不良などの症状が出ます。月経や出産といった因子の他にも、消化管や子宮などからの持続的な少量の出血によっても引き起こされることがあるため注意が必要です。また日常生活では偏った食生活によって引き起こされている貧血が多く、特に無理なダイエットは禁物と言えます。貧血気味の人は、鉄分やビタミンを豊富に含んだバランスの良い食事を心がけましょう。
特に原因となる疾患のない多血症の人もまた、自身の生活習慣を見直す必要があります。肥満、喫煙などによる低換気症候群によって、血液の濃度が高くなり多血症となる場合があります。多血症では血液の粘稠度が高くなることに加え、こうした人は高血圧や高コレステロール血症なども併発しているケースが多いため、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクも高まります。
血液の異常は軽度であれば自覚症状として現れないことが多いです。定期的に健康診断を受け、自分の検査値を把握しておくようにしましょう。そして何かしら異常値を示す検査項目があった場合は、早めに医療機関で再検査を受けるようにしましょう。