カップルがお互いに似ていると、付き合うまでの期間が短い
あの夫婦は、何となく目の雰囲気が似ている。そんなことは珍しくはない。一方で、美女と野獣と呼ばれるような、一見、つりあわないカップルもいる。男女が知り合って(恋人・配偶者として)恋愛相手となるまでの期間が関わるようだ。
「選択的結婚」の現象
米国のテキサス大学オースティン校・ノースウェスタン大学の研究グループが、心理科学協会が発行するサイコロジカル・サイエンス誌2015年6月11日号オンライン版で報告した。研究グループによると、心理学では「選択的結婚」といわれる現象がある。よく似た身体的、行動的、心理学的な特徴を持つ人同士がパートナーとして付き合う傾向にあるという現象を言っている。恋愛相手を選ぶ場合は、自身の好みが選択を左右してくる。
競争力学に影響するのは?
研究グループは、パートナー同士が知り合ってから恋愛相手となるまでの期間の長さが、性に関する競争力学を変えるのではないかと仮定した。人はより親密になると、客観的な魅力はどうでもなくなってくると分かってくる。さまざまな状況を通して知り合い、相手への好みが変化してくる、互いがカップルとなるかどうかを決める場合の判断が変わる。
無関係な人が点数付け
研究グループは、恋人同士の関係に関する研究に参加した167組のカップルのデータを集めた。67組は交際中、100組は既婚。カップルが付き合っている期間は、短い組で3カ月、長いカップルでは53年で、平均は8年8か月だった。研究の一環として、カップルをビデオに収めた。このビデオを使い、研究の対象者とは無関係の人々が、前もって用意された判定基準に基づいて各パートナーの客観的な魅力を点数付けしてもらった。
付き合うまでが短いと客観的な魅力は近い
結果として、相手と知り合ってからデートをするまでの期間が長いほど、男女の客観的な魅力については一致しない傾向があると分かった。研究グループの仮定と一致していた。例えば、知り合ってデートをするまで数カ月かかった場合、客観的には魅力的と言えない女性と客観的に見て魅力的な男性が恋愛相手となる傾向がより高かった。反対に知り合ってから1カ月以内にデートをする(恋愛相手となる)場合は、男女の客観的な魅力が一致する傾向が強かった。
友人と付き合った場合は?
デートをするまでの関係について検討したところ、デートをする前に友人であった場合は、デートをするまで見知らぬ人だったカップルに比べ、客観的な魅力は一致していなかった。結論として、知り合ってから恋愛相手となるまでの時間の長さ次第で相手のどこを望ましいと思うかは変ってくる。お互いをよく知るほど、客観的な魅力よりも、別の要因が影響してくる。言われてみれば当たり前なのだろうか。
文献情報
Hunt LL et al. Leveling the Playing Field: Longer Acquaintance Predicts Reduced Assortative Mating on Attractiveness. Psychol Sci. 2015 Jun 11[Epub ahead of print]
Psychol Sci. 2015 Jul;26(7):1046-53. doi: 10.1177/0956797615579273. Epub 2015 Jun 11. Research Support, Non-U.S. Gov’t